スノウチニュース<№245> 令和7年3月


【建築関連統計】
1月の鉄骨系需要量は25万7,700トン(前年同月比19.6%減)
24年度(4~1月)の需要量306万9,350トン(前年同期比6.7%減)

国土交通省が2月28日に発表した「建築物着工統計調査」による2025年1月着工総面積は8,980千平方メ―トル(前年同月比12.2%減)となり、前年同月比では15ヵ月連続減となった。民間ビルの建設などは、建設費・人件費の高騰から建築着工需要の低水準が続いている。
建築主別は、▽公共建築物が320千平方メートル(同22.2%増)となり、同3ヵ月連続増となった。▽民間建築物は6,660千平方メートル(同13.4%減)となり、同15ヵ月連続減となった。
用途別は、▽居住建築物は4,493千平方メートル(同4.1%減)となり、同9ヵ月連続減となった。▽非居住建築物は2,487千平方メートル(同23.9%減)となり、同7ヵ月連続減となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が2,496千平方メートル(同21.4%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が162千平方メートル(同153.2%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加となった。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,432千平方メートル(同10.3%減)となり、同9ヵ月連続減となった。▽木造(W造)が2,832千平方メートル(同7.6%減)となり、同4ヵ月ぶりの減少となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は24万9,600トン(前年同月比21.4%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽SRC造は8,100トン(同153.2%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加となった。鉄骨系合計では前月比7.9%減の25万7,700トン(同19.6%減)となった。
24年度(4~1月)の鉄骨需要量は、▽S造が299万7,300トン(前年同期比6.9%減)、▽SRC造が7万2,050トン(同3.1%増)となり、鉄骨系合計では306万9,350トン(同6.7%減)となった。

24年1月-25年1月 鉄骨系需要量の推移

 

年/月 S造
(TON)
前年比
(%)
SRC造
(TON)
前年比
(%)
鉄骨造計
(TON)
前年比
(%)
2024年1月 317,500 6.2 3,200 -84.1 320,700 0.5
2月 297,200 -13.4 2,750 -5.4 299,950 -13.3
3月 317,300 18.7 4,050 -63.9 321,350 15.4
2024年度4月 379,900 -2.9 7,700 -2.5 387,600 -2.9
5月 275,900 -4.0 6,750 -10.1 28,260 -4.2
6月 313,800 4.9 4,900 -56.0 318,700 2.7
7月 321,600 2.5 2,450 -77.4 324,050 -0.2
8月 273,400 -5.9 10,200 27.6 283,600 -5.0
9月 327,900 2.4 1,500 -70.9 329,400 1.3
10月 295,600 -26.4 17,050 111.7 312,650 -23.7
11月 283,200 2.1 10,050 154.2 293,250 4.2
12月 276,500 -13.8 3,350 -18.3 279,850 -13.8
1月 249,600 -21.4 81,00 153.2 257,700 -19.6
24年度(24年4月-25年1月) 2,997,300 -6.9 72,050 3.1 3,069,350 -6.7

(国土交通省調べ)

 

日建連の1月総受注額1兆2,293億円(前年同月比11.2%増)
民間工事は8,370億6,700万円(同12.7%増)

日本建設業連合会(日建連)が2月27日に発表した会員企業92社の2025年1月分の受注工事総額は1兆2,292億6,800万円(前年同月比11.2%増)となり、前年同月比では2ヵ月連続増となった。そのうち、国内工事が1兆1,565億0,400万円(同7.5%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽海外工事が727億6,400万円(同145.5%増)の大幅増となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。
民間工事が8,370億6,700万円(同12.7%増)となり、同2ヵ月連続増となった。官公庁工事が3,143億9,700万円(同4.1%減)となり、同3ヵ月連続減となった。
民間工事の8,370億6,700万円のうち、▽製造業が1,846億6,900万円(同35.8%増)の大幅増となり、同2ヵ月ぶりの増加。▽非製造業6,523億9,800万円(同7.5%増)となり、同2ヵ月連続増なった。官公庁工事の3,143億9,700万円のうち、▽国の機関が2,565億4,100万円(同28.8%増)となり、同2ヵ月連続増。▽地方の機関が578億5,600万円(同55.0%減)の大幅減となり、同2ヵ月連続減。▽その他が50億4,000万円(同7.7%増)となり、同1ヵ月で減少となった。
2024年度(4~1月)の受注総工事額が14兆0,409億5,600万円(前年同期比5.9%増)となった。▽民間工事が10兆2,548億7,700万円(同7.3%増)、▽官公庁工事が3兆1,729億0,800万円(同2.2%減)、▽海外工事が5,516億9,600万円(同36.3%増)となった。
1月の地域ブロック別受注工事額は、▽北海道が810億0,700万円(前年同月比56.8%増)の大幅増となり、前年同月比では1ヵ月で増加。▽東北が815億0,800万円(同43.6%増)の大幅増となり、同3ヵ月連続増。▽関東が5,594億3,700万円(同7.3%減)となり、同1ヵ月で減少。▽北陸が206億8,300万円(同4.3%増)の微増となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。
▽中部が1,418億1,200万円(同86.0%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加。▽近畿が1,466億0,800万円(同6.6%減)となり、同5ヵ月連続減。▽中国が356億2,900万円(同20.5%減)となり、同1ヵ月で減少。▽四国が162億4,500万円(同109.1%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加。▽九州が735億6,400万円(同25.7%増)となり、同1ヵ月で増加となった。



1月の粗鋼生産量は678.7万トン(前年同月比6.6%減)
12月の普通鋼建築用受注量38.5万トン(前年同月比10.1%減)

日本鉄鋼連盟は2月21日に発表した2025年1月の銑鉄生産は507.5万トン(前年同月比5.0%減)となり、前年同月比では2ヵ月ぶりの減少。粗鋼生産は678.7万トン(同6.6%減)となり、同11ヵ月連続減となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が514.6万トン(同5.2%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少。▽電炉鋼が164.1万トン(同10.7%減)となり、同6ヵ月連続減となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が525.2万トン(同6.1%減)となり、同11ヵ月連続減。▽特殊鋼が153.5万トン(同8.1%減)となり、同11ヵ月連続減となった。
▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は607.1万トン(同5.3%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は478.5万トン(同5.9%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は128.6万トン(同2.8%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。
なお、12月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が38万5,223トン(前年同月比10.1%減)。うち▽非住宅が26万0,235トン(同14.5%減)となり、▽住宅が12万4,988トン(同0.7%増)となった。
用途別受注量の24年度(4~12月)では、▽建築用が356万2,982トン(前年同期比8.7%減)。うち▽非住宅が248万2,410トン(同9.9%減)。▽住宅が108万0,572トン(同5.8%減)となった。23暦年(1~12月)では、▽建築用が482万5,735トン(前年比8.1%減)。うち▽非住宅が335万0,451トン(同8.4%減)。▽住宅が147万5,284トン((同7.6%減)となった。



12月の溶接材料出荷量1万5,527トン(前年同月比7.1%減)
24暦年(1~12月)の総出荷量18万8,051トン(前年比7.6%減)

日本溶接材料工業会が発表した2024年12月の溶接材料出荷量が1万5,527トン(前年同月比7.1%減)となり、前年同月比では9ヵ月連続減となった。
出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が5,567トン(同24.7%減)となり、同7ヵ月連続減。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,396トン(同5.4%減)となり、同5ヵ月連続減。▽被覆溶接棒が1,580トン(同7.7%減)となり、同1ヵ月で減少。その他を含む出荷量計では1万5,527トンとなった。
24年度(4月~12月)の出荷量は、▽SWが5万7,302トン(前年同期比12.0%減)、▽FCWが4万7,697トン(同6.3%減)、▽溶接棒が1万3,659トン(同20.5%減)となり、その他を含む出荷量計での総出荷量は13万7,409トン(同10.1%減)となった。
24暦年(1月~12月)の出荷量は、▽SWが7万9,029トン(前年比7.7%減)、▽FCWが6万5,161トン(同3.7%減)、▽溶接棒が1万8,865トン(同22.0%減)となり、その他を含む出荷量計での総出荷量は18万8,051トン(同7.6%減)となり、1973年の統計開始以来初の年間20万トン割れとなった。
財務省の貿易統計による12月の▽輸出量は2,745トン(同6.2%増)となり、同2ヵ月連続増。▽輸入量は6,002トン(同28.1%増)となり、同1ヵ月で増加となった。
24年度(4~12月)の輸出量は2万1,765トン(前年同期比8.1%減)、輸入量は4万4,000トン(同4.8%増)となった。24暦年(1~12月)の輸出量は2万9,513トン(前年比8.1%減)、輸入量5万8,263トン(同8.4%減)となった。

23年12月-24年12月 溶接材料月別実績表

単位/トン
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
2023年 12 7395 4.6 5702 6.1 1712 ▼22.3 16722 ▼2.0
2024年 1 6643 5.7 5348 0.8 1698 ▼28.7 16020 ▼1.0
2 7228 1.0 5816 9.1 1779 ▼24.0 16746 ▼1.3
3 7856 10.8 6300 3.3 1729 ▼24.2 17876 1.7
2024年度 4 6410 ▼4.7 5464 ▼3.5 1503 ▼17.0 15384 ▼6.0
5 6605 2.1 5397 ▼3.7 1773 ▼10.0 15780 ▼2.1
6 7546 ▼0.1 5156 ▼12.2 1290 ▼38.5 15363 ▼13.4
7 7017 ▼4.2 5570 3.1 1270 ▼40.4 16012 ▼6.6
8 5275 ▼26.7 4831 ▼9.4 1200 ▼37.2 13163 ▼21.3
9 6982 ▼8.2 5225 ▼11.5 1737 ▼16.7 15888 ▼10.8
10 5818 ▼21.8 5349 ▼5.1 1396 ▼19.0 14827 ▼13.2
11 6082 ▼8.2 5309 ▼9.2 1910 9.9 15477 ▼9.1
12 5567 ▼24.7 5396 ▼5.4 1580 ▼7.7 15527 ▼7.1
2024年(1~12月) 79029 ▼7.7 65161 ▼3.7 18865 ▼22.0 188051 ▼7.6
2024年度(4~12月) 57302 ▼12.0 47697 ▼6.3 13659 ▼20.5 137409 ▼10.1

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。

日本溶接材料工業会

 

【建築プロジェクト】
東急百貨店跡地「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」は1月着工
S造・一部SRC造、34階、延床11.9万平米は大林・東急・西武JV

 東急、L Catterton Real Estate、東急百貨店が共同で推進する東急百貨店跡地(東京都渋谷区道玄坂2-24-1)を建て替える「Shibuya Upper West Project(SUWP/渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト)」は1月に着工した。設計は日建設計・石本建築事務所が担当し、エグゼクティブアーキテクトは日建設計・東急設計コンサルタントJV。施工は大林組・東急建設・西武建設JV。完成は2029年7月を目指している。
 SUWPの建設用地は、敷地面積約1万3,675平方メートル(Bunkamuraを含む)に、建築面積約1万2,130平方メートル。建築規模はS造・一部SRC造、地下4階・地上34階建て、延べ11万9,041平方メートル。高さ約165メートルとなる超高層複合ビルとなる。
地下は駐車場、低層部にはアートカルチャ、リテールの商業施設を設ける。中層部は日本初のラグジュアリーホテル「The House Collective」が入り、高層部はレジデンス(共同住宅)になる。建物のデザインはノルウェーと米国に拠点を置く建築・デザイン事務所スノヘッタが担当した。東急が23年にまとめた、当初の建築計画では24年7月の着工、28年3月の完成を見込んでいた。着工が約半年、竣工は約1年遅れになった。
L Catterton Real Estateは、全世界で17のオフィスを構え、330億ドル以上の資金を有するグローバルに展開するコンシューマ業界に特化した投資会社。


【時論・公論】
スマホによる活字離れ現象と規制について

スマートフォン(スマホ)の普及により、社会生活に大きな変化が起きている。1990年代の携帯電話から現在のスマホへと進化し、モバイル機能が驚くほど拡充され、携帯するパソコン(PC)でもある。肌身離さずには居られない必需品。車内や歩行中で指を動かしながら画面を観ている人を<スマホ依存症>とも言われる所以である。
スマホは電話・eメールのほかICT(情報通信技術)での利活用があり、ネット閲覧やネット交流サービス(SNS)、ニュース、ゲーム、映像・写真、店舗検索、物品購入などの機能を持つだけに手放せない。だが、SNSによる虐めや偽情報、オンラインカジノなどの犯罪にもつながる。欧米では年齢制限などの規制が行われているが、わが国は「子ども家庭庁」が作業部会により、この5月に課題と対策について検討するといった悠長な対応策である。
スマホの利点は多くのニュースや情報が瞬時に得られる半面、新聞・雑誌・書籍など活字媒体に大きな影響を与えている。文化庁調査によると、「1ヵ月に1冊も本を読まない人が6割を占める」と発表している。電車内ではスマホを観ている人は軒並みなのに、新聞や週刊誌・単行本を読む人はほぼいない。活字媒体離れ現象である。
新聞離れは駅売りの『夕刊フジ』が56年の歴史に幕を閉じたことに象徴する。日本新聞協会調べでは2000年のスポーツ紙の販売部数が約631万部で、23年に約192万部と3割も激減する。一般紙の発行部数はこの5年で1,128万部も減った。最も部数の多かった1997年の約5,376万部に比べ、22年に約3,085万部(約2,291万部減)となり、25年間で42.6%も減っている。一般家庭でも新聞購読減少が子供達に影響を与えている。
なぜこんなに新聞発行が減ったのか。ネット上では様々な分析があるが、「スマホでネットから情報を得るようになり、新聞と置き換わった」と言う理由が大体で一致している。一方、週刊誌など雑誌販売の減少も著しい。97年に約38億部数あったが、22年度には約7億部数と約8割も減少し、販売金額でも97年に約1兆6,000億円あったが、22年に4,000億円と7.5割も減少している。このいずれもがPCやスマホによる影響は否定できない。
単行本や書籍だけでなく、辞書・百科辞典なども売れなくなり、書店が減少しつつある。日販の「出版物販売額の実態」では、06年の書店数は1万4,555店が、22年は8,169店(43.9%減)と大きく減少。出版社も大変だが取次店・印刷・紙業会社など苦境に陥っている。一方、児童書の売上げは増え、「小学生の読書時間が増えている」との情報だが、彼らも中高校生になればSNSを利用する。学校でもスマホ教育・指導が必須条件である。

【加藤 敏雄】