スノウチニュース<№243> 令和7年1月


【建築関連統計】
11月の鉄骨系需要量は29万3,250トン(前年同月比4.2%増)
24年度(4~11月)の需要量347万3,900トン(前年同期比3.2%減)

国土交通省が12月27日に発表した「建築物着工統計調査」による2024年11月着工総面積は8,438千平方メ―トル(前年同月比0.9%減)の微減となり、前年同月比では13ヵ月連続減となった。建設費などの高騰などから建築着工需要の低水準が続いている。
建築主別は、▽公共建築物が373千平方メートル(同38.4%増)の大幅増となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。▽民間建築物は8,065千平方メートル(同2.2%減)の微減となり、同13ヵ月連続減となった。
用途別は、▽居住建築物は5,288千平方メートル(同1.0%減)の微減となり、同7ヵ月連続減となった。▽非居住建築物は3,149千平方メートル(同0.6%減)の微減となり、同5ヵ月連続減となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が2,832千平方メートル(同2.1%増)の微増となり、同1ヵ月で増加となった。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が201千平方メートル(同154.2%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,488千平方メートル(同16.0%減)となり、同7ヵ月連続減となった。▽木造(W造)が3,839千平方メートル(同0.7%増)の微増となり、同2ヵ月連続増となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は28万3,200トン(前年同月比2.1%増)の微増となり、同1ヵ月で増加となった。▽SRC造は1万0,050トン(同154.2%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。鉄骨系合計では前月比6.2%減の29万3,250トン(同4.2%増)となった。
24暦年(1~11月)の鉄骨需要量は、▽S造が340万3,300トン(前年同期比2.5%減)、▽SRC造が7万0,600トン(同27.1%減)となり、鉄骨系合計では347万3,900トン(同3.2%減)になった。
24年度(4~11月)の鉄骨需要量は、▽S造が247万1,200トン(前年同期比4.3%減)、▽SRC造が6万0,600トン(同3.2%減)となり、鉄骨系合計では253万1,800トン(同4.2%減)となった。

23年11月-24年11月 鉄骨系需要量の推移

年/月 S造
(TON)
前年比
(%)
SRC造
(TON)
前年比
(%)
鉄骨造計
(TON)
前年比
(%)
2023年11月 277,400 -19.7 3,950 -50.8 281,350 -20.4
12月 320,600 0.6 4,100 -42.5 324,700 0.3
2024年1月 317,500 6.2 3,200 -84.1 320,700 0.5
2月 297,200 -13.4 2,750 -5.4 299,950 -13.3
3月 317,300 18.7 4,050 -63.9 321,350 15.4
2024年度4月 379,900 -2.9 7,700 -2.5 387,600 -2.9
5月 275,900 -4.0 6,750 -10.1 28,260 -4.2
6月 313,800 4.9 4,900 -56.0 318,700 2.7
7月 321,600 2.5 2,450 -77.4 324,050 -0.2
8月 273,400 -5.9 10,200 27.6 283,600 -5.0
9月 327,900 2.4 1,500 -70.9 329,400 1.3
10月 295,600 -26.4 17,050 111.7 312,650 -23.7
11月 283,200 2.1 10,050 154.2 293,250 4.2
24暦年(24年1月-11月) 3,403,300 -2.5 70,600 -27.1 3,473,900 -3.2
24年度(24年4月-11月) 2,471,200 -4.3 60,600 -3.2 2,531,800 -4.2

 

(国土交通省調べ)

 

日建連の11月総受注額1兆1,519億円(前年同月比12.7%減)
民間工事は8,934億8,200万円(同11.8%減)

日本建設業連合会(日建連)が12月26日に発表した会員企業92社の2024年11月分の受注工事総額は1兆1,518億9,200万円(前年同月比12.7%減)となり、前年同月比では1ヵ月で減少となった。国内工事が1兆1,160億6,000万円(同11.1%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。
民間工事が8,934億8,200万円(同11.8%減)となり、同1ヵ月で減少となった。官公庁工事が2,219億2,800万円(同8.2%減)となり、同4ヵ月ぶりの減少となった。▽海外工事が358億3,200万円(同43.2%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少となった。
民間工事の8,934億8,200万円のうち、▽製造業が1,861億6,300万円(同7.3%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少。▽非製造業7,073億1,900万円(同12.9%減)となり、同1ヵ月で減少なった。官公庁工事の2,219億2,800万円のうち、▽国の機関が1,294億7,900万円(同23.5%減)となり、同4ヵ月ぶりの減少。▽地方の機関が924億4,900万円(同27.8%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽その他が6億5,000万円(同42.1%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少となった。
2024年度(4~11月)の受注総工事額が10兆9,123億7,700万円(前年同期比5.5%増)となった。▽民間工事が7兆9,931億9,500万円(同6.1%増)、▽官公庁工事が2兆4,516億8,800万円(同0.7%増)、▽海外工事が4,136億4,500万円(同28.6%増)となった。
なお、2024暦年(1~11月)の受注総工事額が17兆0,113億7,800万円(前年同期比7.7%増)となった。▽民間工事が11兆8,690億円(同6.7%増)、▽官公庁工事が4兆4,525億0,300万円(同7.0%増)、▽海外工事が6,281億8,100万円(同41.8%増)となった。

【訂 正】:24年12月号の2024暦年(1~10月)受注総工事額の▽海外工事が5,523億4,900万円(同45.4%増)は、
正しくは5,923億4,900万円(同56.0%増)でした。

11月の地域ブロック別受注工事額は、▽北海道が437億2,400万円(前年同月比43.5%増)となり、前年同月比では4ヵ月連続増。▽東北が566億7,500万円(同16.5%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加。▽関東が5,871億7,900万円(同8.5%減)となり、同1ヵ月で減少。▽北陸が245億3,700万円(同30.2%減)の大幅減となり、同5ヵ月ぶりの減少となった。
▽中部が886億9,200万円(同5.6%増)となり、同5ヵ月連続増。▽近畿が1,622億1,300万円(同30.7%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続減。▽中国が270億6,100万円(同57.5%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少。▽四国が207億6,800万円(同50.1%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加。▽九州が1,051億0,200万円(同0.5%増)の微増となり、同7ヵ月ぶりの増加となった。



11月の粗鋼生産量は688.8万トン(前年同月比3.1%減)
10月の普通鋼建築用受注量40.6万トン(前年同月比13.0%減)

日本鉄鋼連盟は12月20日に発表した2024年11月の銑鉄生産は501.2万トン(前年同月比0.4%減)となり、前年同月比では9ヵ月連続減。粗鋼生産は688.8万トン(同3.1%減)となり、同9ヵ月連続減となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が509.0万トン(同率)となった。▽電炉鋼が179.8万トン(同10.9%減)となり、同4ヵ月連続減となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が531.3万トン(同2.2%減)となり、同9ヵ月連続減少。▽特殊鋼が157.5万トン(同6.0%減)となり、同9ヵ月連続減となった。
▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は595.6万トン(同5.6%減)となり、同9ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は466.9万トン(同5.2%減)となり、同9ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は128.6万トン(同7.0%減)となり、同9ヵ月連続減となった。
なお、10月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が40万6,460トン(前年同月比13.0%減)。うち▽非住宅が28万4,209トン(同8.4%減)となり、▽住宅が12万2,251トン(同22.0%減)となった。
24年度(4~10月)の用途別受注量では、▽建築用が278万3,600トン(前年同期比8.0%減)。うち▽非住宅が194万4,080トン(同9.5%減)。▽住宅が83万9,520トン(同4.4%減)となった。23暦年(1~10月)の用途別受注量では、▽建築用が404万6,353トン(前年同期比7.6%減)。うち▽非住宅が281万2,121トン(同7.8%減)。▽住宅が123万4,232トン((同7.1%減)となった。



10月の溶接材料出荷量1万4,827トン(前年同月比13.2%減)
24年度(4~10月)の総出荷量10万6,417トン(前年同期比10.6%減)

日本溶接材料工業会が発表した2024年10月の溶接材料出荷量が1万4,827トン(前年同月比13.2%減)となり、前年同月比では7ヵ月連続減となった。
出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が5,818トン(同21.8%減)の大幅減となり、同5ヵ月連続減。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,349トン(同5.1%減)となり、同3ヵ月連続減。▽被覆溶接棒が1,396トン(同19.0%減)となり、同15ヵ月連続減。その他を含む出荷量計では1万4,827トンとなった。
24年度(4月~10月)の出荷量は、▽SWが4万5,653トン(前年同期比9.3%減)、▽FCWが3万6,992トン(同6.2%減)、▽溶接棒が1万0,169トン(同25.9%減)となり、その他を含む出荷量計での総出荷量は10万6,417トン(同10.6%減)となった。
24暦年(1月~10月)の出荷量は、▽SWが6万7,380トン(前年同期比4.9%減)、▽FCWが5万4,456トン(同3.0%減)、▽溶接棒が1万5,375トン(同25.8%減)となり、その他を含む出荷量計での総出荷量は15万7,059トン(同7.5%減)となった。
財務省の貿易統計による10月の▽輸出量は2,585トン(同8.4%減)となり、同6ヵ月連続減。▽輸入量は4,897トン(同5.8%増)の微増となり、同2ヵ月連続増となった。
24年度(4~10月)上半期の輸出量は1万5,744トン(同14.7%減)、輸入量は3万3,227トン(同7.8%減)となった。24暦年(1~10月)の輸出量は2万3,492トン(前年同期比12.6%減)、輸入量4万7,490トン(同11.1%減)となった。

23年10月-24年10月 溶接材料月別実績表

出荷量 単位/トン
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
2023年 10 7443 1.5 5639 ▼1.5 1723 ▼21.2 17083 ▼4.7
11 7416 ▼2.8 5782 ▼0.7 1738 ▼26.9 17071 ▼6.5
12 7395 4.6 5702 6.1 1712 ▼22.3 16722 ▼2.0
2024年 1 6643 5.7 5348 0.8 1698 ▼28.7 16020 ▼1.0
2 7228 1.0 5816 9.1 1779 ▼24.0 16746 ▼1.3
3 7856 10.8 6300 3.3 1729 ▼24.2 17876 1.7
2024年度 4 6410 ▼4.7 5464 ▼3.5 1503 ▼17.0 15384 ▼6.0
5 6605 2.1 5397 ▼3.7 1773 ▼10.0 15780 ▼2.1
6 7546 ▼0.1 5156 ▼12.2 1290 ▼38.5 15363 ▼13.4
7 7017 ▼4.2 5570 3.1 1270 ▼40.4 16012 ▼6.6
8 5275 ▼26.7 4831 ▼9.4 1200 ▼37.2 13163 ▼21.3
9 6982 ▼8.2 5225 ▼11.5 1737 ▼16.7 15888 ▼10.8
10 5818 ▼21.8 5349 ▼5.1 1396 ▼19.0 14827 ▼13.2
2024年(1~10月) 67380 ▼4.9 54456 ▼3.0 15375 ▼25.8 157059 ▼7.5
2024年度(4~10月) 45653 ▼9.3 36992 ▼6.2 10169 ▼25.9 106417 ▼10.6

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。

日本溶接材料工業会

 

【建築プロジェクト】
三菱UFJ銀行本館建替え計画は大林組
S造・一部SRC造・RC造、地下4階・地上28階建て、延床17.2万平米

 三菱UFJ銀行は、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)本社と三菱UFJ銀行本館建て替えの「M計画」(建設地は千代田区丸の内2-5ほか)を発表した。既存ビル解体工事を2025年1月から着手し、29年5月末完了の予定。建築工事は26年4月に着工し、30年10月末完成をめざす。
同計画の敷地面積約1万8,938平方メートルで、建築面積約7,650平方メートル。建築規模はS造(CFT柱)・一部SRC造・RC造、地下4階・地上28階・塔屋2層建て、延べ床面積約17万2,000平方メートル。設計は三菱地所設計が担当し、解体工事と施工者を大林組に決めた。
 発表したデザイン・設計概要では、地階は飲食・物販店舗や駐車場、地上1階は貫通通路、屋内外広場、飲食物販店舗などとなる。2階は大ホールや会議室、4階はラウンジスペースや共創空間、5階はエントランス、6~26階はオフィスとし、27・28階は屋上テラスやラウンジで構成される。
 最先端のスマートビル技術の導入や屋上テラス・ラウンジなど効率的で快適なオフィス空間とする。また、米国の環境認証制度「LEED」などを認証取得する。建設関連資金をグリーンファイナンスで調達する。防災・災害対策として帰宅困難者らの受け入れを可能とする強靱なインフラ・施設も備えるとしている。


「16FGオフィス&パーク」は清水建設で2月着工
S造・RC造、地下1階・地上7階建て、延床3万7,500平米

 十六フィナンシャルグループは新本部複合ビル「16FGオフィス&パーク」の計画を発表した。建設地は旧岐阜市本庁舎跡地の今沢町と鷹見町地内の敷地面積約1万1,868平方メートルに建設される。グループ中核の十六銀行が創立150周年を迎える2027年10月の開業を予定している。
建築規模は、S造・RC造、地下1階・地上7階建て、延べ床面積約3万7,500平方メートル(高さ34.5メートル)。設計は日建設計の担当、施工は清水建設によって2月着工し、27年7月の完成予定。
建物構成は、地下1階に駐車場。1階は飲食物販店舗、駐輪場、ATM、貸金庫、 エントランス、大会議室。2階はテラス、十六銀行営業店舗。3階は食堂、エントランス、会議室、災害対策会議室。4~7階はオフィス(十六銀行本部・グループ各社本部)の構成となっている。
同計画のコンセプトは、未来を創造し、「美しく居心地の良い共有空間」と「時代を先取りしたワークプレイス」を備えた拠点として、中心市街地の魅力と回遊性を高める施設をめざす。低層階に3つの大きな吹き抜けにより明るい光を取り込み、地域の人が気軽に集い利用できる施設とする。 地域環境へ配慮し、低層部の通り抜け空間と災害時には復旧・ 復興活動の拠点機能を想定した施設とし、災害時には公開空地や大会議室で地域住民の一時的な受け入れをする方針。


【時論・公論】
ICT・AI技術とロボットのDX化

建設業界でもデジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進んでいる。「DX」の定義はさまざまだが、<企業がデータとデジタル技術により、生産性や効率化、顧客ニーズ、サービスなどに対応する形で業務改革や機器装置、設備、組織、プロセスなどを改善し、競争上の優位性を確立する>ことも一例である。
建設業界は高齢化、技術・技能者不足もあって、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)、3次元モデリング(BIM)などの先端技術を取り入れている。中でも建築現場の建て方作業を安全で効率的、省力化に対応する一方、鉄骨建築ではコラムや円形鋼管柱の接合溶接をロボットで施工し、技能者不足をロボットとの協働作業で補っている。
建築物の建て方工事ではロボット溶接のほか、水平搬送、耐火被覆吹付、外装材取り付け、床ひび割れ計測、床仕上げ、鉄筋結束、自律型清掃、自走式墨出しなどのさまざまな専用ロボット化により労働負担を軽減している。先端ICT技術によりロボットの施工方法や施工管理のやり方や構法、設計標準化・共通化が進む可能性もある。
鉄骨ファブの省力化への歩みは、1970年代にNC(数値制御)H形鋼孔あけ・加工機ラインを導入。溶接ロボットの導入は80年代からである。90年代ではコンピューター(PC)の普及により、CAD/CAMやBIMシステムが導入され、設計業務や現寸作業が軽減された。鉄骨製作でロボット溶接の普及率と活用は目覚ましく、可搬型ロボットや多関節型ロボットなどが大組立て溶接に採用され、鉄骨ファブの工場内でロボット化は珍しくなくなった。
溶接作業のロボット化で省人化し、生産効率や品質の向上が図られたものの、技能者が人材不足となり、ロボット活用の進化とICT・AI技術の登場で技能者不足を補い低コスト化を図るための新たなDX化が求められている。
AI技術は、22年11月に米国ChatGPTの生成AI技術が公開されて以来、わが国の産業界でも各分野でAIの応用・導入が急増する。建築設計でもAI技術が急速に進化し、広く普及している。ものづくりでは、ICTとAI技術、産業用ロボットによるIoT(モノのインターネット)の融合技術が増え、省人化と生産効率の向上に繋がっている。
スノウチでも本社工場・東広島工場の省力化を図るため、デジタルリンクセンサーや数値制御、産業用コンピューターなどICTと、産業用ロボットとの組み合わせで生産を効率化し、省人化を実現してきた。この実績が評価され、鉄骨ファブをはじめ多くのユーザーの要望に応え、2018年11月にFA事業本部を立ち上げ<IOTソリューションとコンサルテングサービス>事業を行っている。HP事業内容の「FAソリューション」を観て頂くと参考になるでしょう。

【加藤 敏雄】