スノウチニュース<№240> 令和6年10月
【建築関連統計】
8月の鉄骨系需要量は28万3,600トン(前年同月比5.0%減)
24年度(4~8月)の需要量253万8,600トン(前年同期比1.3%減)
国土交通省が9月30日発表した「建築物着工統計調査」による2024年8月着工総面積は8,295千平方メ―トル(前年同月比10.9%減)となり、前年同月比では10ヵ月連続減となった。都市部の再開発や物流施設など顕著な需要もあるものの、民間の中小建築物が極端に減少しており着工面積の減少が続いている。
建築主別は、▽公共建築物が376千平方メートル(同39.6%増)となり、同3ヵ月連続増となった。▽民間建築物は7,919千平方メートル(同12.4%減)となり、同10ヵ月連続減となった。
用途別は、▽居住建築物は5,243千平方メートル(同9.4%減)となり、同4ヵ月連続減となった。▽非居住建築物は3,053千平方メートル(同13.4%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が2,734千平方メートル(同27.6%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加となった。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が204千平方メートル(同77.4%減)の大幅減となり、同10ヵ月連続減となった。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,483千平方メートル(同26.7%減)となり、同4ヵ月連続減となった。▽木造(W造)が3,804千平方メートル(同8.0%減)となり、同32ヵ月連続減となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は27万3,400トン(前年同月比5.9%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。▽SRC造は10,200トン(同27.6%増)の大幅増となり、同11ヵ月ぶりの増加となった。鉄骨系合計での前月比12.5%減の28万3,600トン(同5.0%減)となった。
24暦年(1~8月)の鉄骨需要量は、▽S造が249万6,600トン(前年同期比0.2%増)、▽SRC造が4万2,000トン(同47.3%減)となり、鉄骨系合計では253万8,600トン(同1.3%減)になった。
24年度(4~8月)の鉄骨需要量は、▽S造が156万4,500トン(前年同期比1.1%減)、▽SRC造が3万2,000トン(同29.5%減)となり、鉄骨系合計では159万6,500トン(同1.9%減)となった。
23年8月-24年8月 鉄骨系需要量の推移
年/月 | S造 (TON) |
前年比 (%) |
SRC造 (TON) |
前年比 (%) |
鉄骨造計 (TON) |
前年比 (%) |
2023年8月 | 290,500 | -17.3 | 8,000 | 26 | 298,500 | -16.3 |
9月 | 320,100 | -0.7 | 5,200 | 40.6 | 325,300 | 0.0 |
10月 | 401,550 | 16.3 | 8,050 | -24.8 | 409,600 | 15.1 |
11月 | 277,400 | -19.7 | 3,950 | -50.8 | 281,350 | -20.4 |
12月 | 320,600 | 0.6 | 4,100 | -42.5 | 324,700 | 0.3 |
2024年1月 | 317,500 | 6.2 | 3,200 | -84.1 | 320,700 | 0.5 |
2月 | 297,200 | -13.4 | 2,750 | -5.4 | 299,950 | -13.3 |
3月 | 317,300 | 18.7 | 4,050 | -63.9 | 321,350 | 15.4 |
2024年度4月 | 379,900 | -2.9 | 7,700 | -2.5 | 387,600 | -2.9 |
5月 | 275,900 | -4.0 | 6,750 | -10.1 | 28,260 | -4.2 |
6月 | 313,800 | 4.9 | 4,900 | -56.0 | 318,700 | 2.7 |
7月 | 321,600 | 2.5 | 2,450 | -77.4 | 324,050 | -0.2 |
8月 | 273,400 | -5.9 | 10,200 | 27.6 | 283,600 | -5.0 |
24暦年(24年1月-8月) | 2,496,600 | 0,2 | 42,000 | -47.3 | 2,538,600 | -1.3 |
24年度(24年4月-8月) | 1,564,500 | -1.1 | 32,000 | -29.5 | 1,596,500 | -1.9 |
(国土交通省調べ)
日建連の8月総受注額1兆0,779億円(前年同月比8.0%増)
民間工事は7,280億2,300万円(同4.7%減)
日本建設業連合会(日建連)が9月27日に発表した会員企業92社の2024年8月分の受注工事総額は1兆0,779億3,200万円(前年同月比8.0%増)となり、前年同月比では2ヵ月連続増となった。国内工事が1兆0,272億6,200万円(同4.5%増)となり、同2ヵ月連続増となった。
民間工事が7,280億2,300万円(同4.7%減)となり、同1ヵ月で減少となった。官公庁工事が2,685億9,200万円(同22.4%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。▽海外工事が506億7,000万円(同247.5%増)の超大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。
民間工事の7,280億2,300万円のうち、▽製造業が1,473億6,000万円(同33.9%減)となり、同1ヵ月で減少。▽非製造業5,806億6,300万円(同7.4%増)となり、同2ヵ月連続増なった。官公庁工事の2,685億9,200万円のうち、▽国の機関が1,588億5,900万円(同21.8%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加。▽地方の機関が1,097億3,300万円(同23.2%増)となり、同3ヵ月連続増となった。▽その他が306億4,700万円(同7,718.1%増)の超大幅増となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。
2024年度(4~8月)の受注総工事額が6兆4,763億3,300万円(前年同期比16.6%増)となった。▽民間工事が4兆7,078億9,400万円(同14.8%増)、▽官公庁工事が1兆4,394億1,900万円(同0.5%増)、▽海外工事が2,882億2,800万円(同46.2%増)となった。
なお、2024暦年(1~8月)の受注総工事額が12兆5,852億4,400万円(前年同期比12.4%増)となった。▽民間工事が8兆5,845億9,900万円(同11.7%増)、▽官公庁工事が3兆4,402億3,400万円(同9.0%増)、▽海外工事が5,126億7,400万円(同61.0%増)となった。
8月の地域ブロック別受注工事額は、▽北海道が523億4,200万円(前年同月比44.6%増)となり、前年同月比では1ヵ月で増加。▽東北が807億9,400万円(同38.3%増)となり、同2ヵ月連続増。▽関東が4,282億4,000万円(同17.5%減)となり、同1ヵ月で減少。▽北陸が250億7,900万円(同66.2%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。
▽中部が917億3,200万円(同28.9%増)となり、同2ヵ月で連続増。▽近畿が2,079億4,700万円(同120.6%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増。▽中国が314億9,200万円(同18.3%増)となり、同4ヵ月連続増。▽四国が194億0,500万円(同27.7%増)となり、同4ヵ月連続増。▽九州が902億3,600万円(同38.7%減)となり、同4ヵ月連続減となった。
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8月の粗鋼生産量は687万トン(前年同月比3.9%減)
7月の普通鋼建築用受注量41.3万トン(前年同月比4.0%減)
日本鉄鋼連盟は9月20日に発表した2024年8月の銑鉄生産が517.3万トン(前年同月比3.9%減)となり、前年同月比で6ヵ月連続減。粗鋼生産が687.0万トン(同3.9%減)となり、同6ヵ月連続減となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が530.7万トン(同3.6%減)となり、同6ヵ月連続減。▽電炉鋼が156.3万トン(同4.7%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が542.3万トン(同2.8%減)となり、同6ヵ月連続減。▽特殊鋼が144.7万トン(同7.8%減)となり、同6ヵ月連続減となった。
▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は590.8万トン(同6.8%減)となり、同6ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は470.6万トン(同7.0%減)となり、同6ヵ月連続減となった。▽殊鋼熱間圧延鋼材の生産は120.2万トン(同5.7%減)となり、同6ヵ月連続減となった。
なお、7月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が41万3,447トン(前年同月比4.0%減)。うち▽非住宅が292万1,091トン(同5.5%減)となり、▽住宅が12万1,356トン(同0.3%減)となった。
24年度(4~7月)の用途別受注量では、▽建築用が164万1,989トン(前年同期比4.4%減)。うち▽非住宅が114万0,916トン(同7.7%減)。▽住宅が50万1,073トン(同4.3%増)となった。
23暦年(1~7月)の用途別受注量では、▽建築用が290万4,742トン(前年同期比8.1%増)。うち▽非住宅が200万8,957トン(同7.0%増)。▽住宅が89万5,785トン((同10.9%増)なった。
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7月の溶接材料出荷量1万6,012トン(前年同月比6.6%減)
24年度(4~7月)の総出荷量6万2,539トン(前年同期比7.2%減)
日本溶接材料工業会が発表した2024年7月溶接材料の出荷量が1万6,012トン(前年同月比6.6%減)のとなり、前年同月比では4ヵ月連続減となった。
出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が7,017トン(同4.2%減)となり、同2ヵ月連続減。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,570トン(同3.1%増)の微増となり、同4ヵ月ぶりの増加。▽被覆溶接棒が1,270トン(同40.4%減)の大幅減となり、同12ヵ月連続減。その他を含む出荷量計では1万6,012トン(同6.6%減)となった。
24年度(4月~7月)の出荷量は、▽SWが2万7,578トン(前年同期比1.8%減)、▽FCWが2万1,587トン(同4.2%減)、▽溶接棒が5,836トン(同27.2%減)となり、総出荷量は6万2,539トン(同7.2%減)となった。24暦年(1月~7月)の出荷量は、▽SWが4万9,305トン(前年同期比1.4%増)、▽FCWが3万9,051トン(同0.6%減)、▽溶接棒が1万1,042トン(同26.5%減)となり、総出荷量は11万3,181トン(同4.2%減)となった。
財務省の貿易統計による7月の▽輸出量は2,266トン(同18.6%減)となり、同3ヵ月連続減。▽輸入量は4,295トン(同17.8%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
24年度(4~7月)の輸出量は8,806トン(同19.0%減)、輸入量1万8,915トン(同7.4%減)となった。24暦年(1~7月)の輸出量は1万6,554トン(前年同期比14.2%減)、輸入量3万3,178トン(同12.4%減)となった。
23年623年7月-24年7月 溶接材料月別実績表
出荷量 | 単位/トン | ||||||||
年/年度 | 月 | ソリッドワイヤ | 前年比 % |
フラックス入りワイヤ | 前年比 % |
被 覆 溶接棒 |
前年比 % |
合 計 | 前年比 % |
2023年度 | 7 | 7322 | 6.1 | 5403 | ▼9.7 | 2131 | 7.8 | 17151 | ▼2.0 |
8 | 7199 | 13.2 | 5331 | ▼3.1 | 1910 | ▼11.3 | 16726 | 1.4 | |
9 | 7608 | ▼5.0 | 5906 | ▼0.7 | 2085 | ▼12.1 | 17802 | ▼6.3 | |
10 | 7443 | 1.5 | 5639 | ▼1.5 | 1723 | ▼21.2 | 17083 | ▼4.7 | |
11 | 7416 | ▼2.8 | 5782 | ▼0.7 | 1738 | ▼26.9 | 17071 | ▼6.5 | |
12 | 7395 | 4.6 | 5702 | 6.1 | 1712 | ▼22.3 | 16722 | ▼2.0 | |
2024年 | 1 | 6643 | 5.7 | 5348 | 0.8 | 1698 | ▼28.7 | 16020 | ▼1.0 |
2 | 7228 | 1.0 | 5816 | 9.1 | 1779 | ▼24.0 | 16746 | ▼1.3 | |
3 | 7856 | 10.8 | 6300 | 3.3 | 1729 | ▼24.2 | 17876 | 1.7 | |
4 | 6410 | ▼4.7 | 5464 | ▼3.5 | 1503 | ▼17.0 | 15384 | ▼6.0 | |
5 | 6605 | 2.1 | 5397 | ▼3.7 | 1773 | ▼10.0 | 15780 | ▼2.1 | |
6 | 7546 | ▼0.1 | 5156 | ▼12.2 | 1290 | ▼38.5 | 15363 | ▼13.4 | |
7 | 7017 | ▼4.2 | 5570 | 3.1 | 1270 | ▼40.4 | 16012 | ▼6.6 | |
2024暦年(1~7月) | 計 | 49305 | 1.4 | 39051 | ▼0.6 | 11042 | ▼26.5 | 113181 | ▼4.2 |
2024年度(4~7月) | 計 | 27578 | ▼1.8 | 21587 | ▼4.2 | 5836 | ▼27.2 | 62539 | ▼7.2 |
注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。
日本溶接材料工業会
【建築プロジェクト】
「東池袋一丁目地区再開発」の複合施設は大成建設で着工
S造・RC造・SRC造、地下3階・地上33階、延べ床15.5万平米
東池袋一丁目地区市街地再開発組合は、「東池袋一丁目地区再開発」(東京都豊島区東池袋1丁目ほかの敷地約1.5ヘクタール)は、池袋駅の北東に位置し、明治通り(5号線環状線)とJR山手線に囲まれた区域に、オフィスやイベントホール、文化体験施設などで構成され、新たな池袋のラウンドマークとなる複合施設。
同再開発組合は、2022年7月に本組合を設立し、「事業推進及び施工等の業務一括受託者」である大成建設は、既存施設の解体工事や実施設計の技術協力も担っている。 参加組合員に住友不動産が参画。総事業費は約1,044億2,400万円を見込んでいる。
再開発の複合規模は、敷地面積約9,900平方メートル、建築面積約8,000平方メートル。建物は、S造・RC造・SRC造、地下3階・地上33階・塔屋1層建て、延べ床面積約15万5,000平方メートル(高さ約180メートル)。設計はアール・アイ・エー、施工は大成建設。 2025年3月の着工、2028年7月の竣工をめざす。
複合施設は、地下1階に約4,300平方メートルのイベントホール、地下2階は駐車場、地上2~4階は約4,400平方メートルの文化体験施設、5~33階はオフィスフロア―となっている。再開発のコンセプトは、「世界中から人を惹きつける、国際アート・カルチャーのメインステージ」で実現に向けたまちづくりを推進すること目的に、20年から準備が進められ、当初の計画では23年4月着工、27年3月完成の予定が大幅に遅れた。
再開発から文化体験施設との一体利用が可能な「みどりの丘」を含む約4,900平方メートルの広場を整備する。また、再開発と併せ池袋駅から再開発地区までを連続的に再整備する長さ約500メートルの「みどりのプロムナード」を創出する。池袋地区は、アニメ関連の商業施設など多様な文化拠点のある観光地としてのポテンシャルが高いため若者らの交流の場として活用される。
再開発の施設は、大地震などの大災害による帰宅困難者受入れスペース・防災備蓄倉庫を整備することで地域防災対応力の強化を図る。また、建物の省エネルギー化・地域冷暖房の採用によりエネルギーの面的利用に取り組むことで環境負荷低減の推進を図る。
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アニメクリエイターラボ複合施設「GEAR」
S造、8階建、延床4,324平米は大旺新洋で着工
高知信用金庫は、創業100周年記念事業として高知県にアニメクリエイターやアニメ関連企業の集積による雇用創出と地域活性化を目的とした「高知アニメクリエイター聖地プロジェクト」を推進。そのプロジェクトの一環として、若者が集う街づくりに貢献する拠点として、アニメクリエイターラボ複合施設「GEAR」の建設を9月に着工した。
同施設の建設地は、高知市本町1-27の敷地面積約1,310平方メートルに建築面積約541平方メートル。建設規模は、S造、地上8階建て、延べ床面積約4,324平方メートル。設計は依光建築設計事務所・若竹まちづくり研究所・熊沢構造設計事務所JV。施工は大旺新洋が担当し、2027年7月完成予定。
同施設の外観は、円筒形に各階をベルト状歯車が巻かれたデザイン。「力」の伝達により文化を繋ぎ、新しいエネルギーが生まれるようなランドマークをめざしている。フロア構成は、1階がイベント・ギャラリースペース。2~3階が高知信用金庫のサテライト、コワーキングスペース、共用スタジオ、アニメクリエイター育成施設。4~7階がプロジェクト事務局、インキュベーションオフィス、アニメ関連企業オフィス。8階が屋上、設備棟の予定。
同施設は、最新技術を用いて文化と産業を創造するアニメクリエイターの聖地(拠点化)となるよう、高知信用金庫のサテライトオフィスも併設され、全面的にバックアップするとしている。スタジオ施設やカレッジ機能の創設も予定されており、アニメ人材育成の総合施設をめざしている。
【時論・公論】
増加が続くDB一括方式
建築物件の設計・施工一括受注方式(DB方式)が、ここ十数年顕著な伸びになっている。そうした傾向もあってか、2007年8月に日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会の3団体が国土交通省大臣官房課長ら宛に「公共工事の設計・施工一括発注方式にかかわる建築三団体の要望書」を提出している。
要望書では<地方自治体が公共事業発注方式して、設計・施工一括発注方式を採用し、施工会社のみを対象に発注するケースが見られる。発注者・設計者・施工者のすべてが、明確化された役割分担に従って、品質を確保する必要がある、との考えと異なり憂慮される>と指摘し、品質確保促進ガイドライン表記の改善を指摘する。
さらに公共事業のDB方式については、<施工は、施工段階での競争性を確保する必要性等から、基本的には設計とは分離して発注されている。公共事業の発注方式は、発注者による基本的な条件設定後、同一の契約で設計者と施工者が分担して責任を取る方式とする>とし、安易な形でのDB方式を採用しないよう要望している。
一方、日本建設業連合会の国内建築工事の「DB方式の受注率」が16年度の55.2%(受注金額ベース)で初の50%超えとなり、以来22年度の55.4%まで連続7年間に亘って50%超えとなっている(23年度は未発表)。
建築設計の委託業務には「基本設計」と「実施設計」の2段階に分けられ、基本設計は建築主の要望に基づき、外観・内装・機能・仕様などを基本設計として作成する。実施設計は基本設計に基づき、行政に申請するための詳細な設計図や仕様書を記載した実施設計を作成する。実施設計が工事発注書となり施工図となる。DB方式には基本設計より施工会社に任せるケースと実施設計から任せるケースに分けられるが、どちらも一長一短がある。
DB方式によるメリットは、設計と施工の技術力が活かせ、工事費や工期を一元管理により早期に確認でき、資材の先行発注などにより、工期短縮が可能になる。また、施工精度が求められる建築物や、難しい現場状況なども蓄積されたノウハウや経験を活かした設計が可能で、設計意図が施工段階まで引き継がれ品質を確保できる。
元N設計・U設計部長に聞くと「工事費の透明性や品質管理などは施主の立場で行うことと設計通りに建てられているかを確認することが設計者の責務。ゼネコンの独自ノウハウが活かせればDB方式もいいと思うが、出来ればCM(コンストラクション・マネジメント)の活用が望ましい」と語り、発注者の熟慮を促す。昨今の鉄骨ファブにとっては、鉄骨製作図の「承認遅れ」が常態化しており、分離方式でもDB方式でも良いが遅れの改善を求めている。
【加藤 敏雄】