スノウチニュース<№232> 令和6年2月


【鉄骨需要月別統計】
12月鉄骨系需要量は32万4,700トン(前年同月比0.3%増)
23年度(4~12月)鉄骨系需要量296万8,350トン(前年同期12.0%減)

国土交通省が1月31日発表した「建築物着工統計調査」の2023年12月着工総面積は8,712千平方メ―トル(前年同月比2.9%減)となり、前年同月比では2ヵ月連続減となった。着工総面積の8,000千平方メ―トル台は今年3月、5月、11月、12月の4回となり、建築需要の低迷が続いている。
建築主別は、▽公共建築物が282千平方メートル(同4.7%増)の微増となり、同1ヵ月で増加となった。▽民間建築物は8,430千平方メートル(同3.1%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
用途別は、▽居住建築物は5,286千平方メートル(同5.2%減)となり、同16ヵ月連続減となった。▽非居住建築物は3,426千平方メートル(同1.0%増)の微増となり、同1ヵ月で増加となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が3,206千平方メートル(同0.6%増)の微増となり、同1ヵ月で増加となった。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が82千平方メートル(同42.5%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続減となった。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,789千平方メートル(同5.3%増)の微増となり、同3ヵ月連続増となった。▽木造(W造)が3,534千平方メートル(同8.5%減)となり、同24ヵ月連続減となった。
鉄骨需要換算では、▽S造は32万0,600トン(同0.6%増)の微増となり、同1ヵ月で増加となった。▽SRC造は4,100トン(同42.5%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続減となった。鉄骨系合計では前月比15.4%増の32万4,700トン(同0.3%増)となった。
23年度(4~12月)の需要量は、▽S造が290万1,600トン(前年同期比11.8%減)、▽SRC造が6万6,750トン(同21.2%減)となり、鉄骨系合計では296万8,350トン(同12.0%減)となった。
一方、23暦年(1~12月)の需要量は、▽S造が381万1,150トン(前年同期比11.7%減)、▽SRC造が10万1,000トン(同6.7%減)となり、鉄骨系合計では391万2,150トン(同11.6%減)となった

22年12月-23年12月 鉄骨系需要量の推移

年/月 S造
(TON)
前年比
(%)
SRC造
(TON)
前年比
(%)
鉄骨造計
(TON)
前年比
(%)
2022年12月 318,600 -25.5 7,150 -60.6 325,750 -26.9
2023年1月 299,000 -14.0 20,150 178.8 319,150 -10.0
2月 343,200 3.5 2,900 -74.7 346,100 0.9
3月 267,200 -23.9 11,250 123.3 278,450 -21.9
4月 391,200 -3.0 7,900 -46.6 399,100 -4.5
5月 287,400 -15.9 7,500 -50.1 294,900 -17.3
6月 299,300 -29.6 11,100 70.5 310,400 -28.0
7月 313,700 -27.9 10,900 -11.4 324,600 -27.4
8月 290,500 -17.3 8,000 26 298,500 -16.3
9月 320,100 -0.7 5,200 40.6 325,300 0.0
10月 401,550 16.3 8,050 -24.8 409,600 15.1
11月 277,400 -19.7 3,950 -50.8 281,350 -20.4
12月 320,600 0.6 4,100 -42.5 324,700 0.3
暦年計(23年1~12月) 3,811,150 -11.7 101,000 -6.7 3,912,150 -11.6
年度計(23年4~12月) 2,901,600 -11.8 66,750 -21.2 2,968,350 -12.0

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連12月総受注額1兆8,170億円(前年同月比2.0%増)
民間工事1兆2,784億6,900万円(同11.6%減)
2023暦年総受注額17兆6,018億円(前年比4.4%増)

日本建設業連合会(日建連)が26日に発表した会員企業93社の2023年12月分の受注工事総額は1兆8,170億9,200万前年同月比2.0%増)の微増となり、前年同月比では2ヵ月連続増となった。23暦年では1兆円台が6回、2兆円台が2回となった。民間工事が1兆2,784億6,900万円(同11.6%減)となった。官公庁工事が4,806億4,500万円(同33.2%増)の大幅増となった。▽海外工事が562億5,200万円(-)となった。
国内工事が1兆7,608億4,000万円(同3.4%減)となり、前年同月比では4ヵ月ぶりの減少となった。民間工事の1兆2,784億6,900万円のうち、▽製造業が5,426億0,600万円(同8.6%増)となり、同1ヵ月で増加となった。▽非製造業7,358億6,300万円(同22.3%減)となり、同1ヵ月で減少となった。
官公庁工事の4,806億4,500万円のうち、▽国の機関が2,424億7,500万円(同21.8%増)となり、同3ヵ月連続増となった。▽地方の機関が2,381億7,000万円(同47.1%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。▽その他が17億2,600万円(同89.2%減)の大幅減となり、同5ヵ月連続減となった。
なお、2023年度上期(4月~12月)の受注総額は12兆1,558億1,600万円(前年同期比6.0%増)となった。そのうち、▽民間工事が8兆8,128億7,700万円(同6.5%増)、▽官公庁工事が2兆9,162億3 500(同12.2%増)、▽海外工事が3,779億0,300万円(同29.0%減)となった。
2023暦年(1月~12月)の受注総額は17兆6,018億8,000万円(前年比4.4%増)となった。そのうち、▽民間工事が11兆1,207億3,800万円(同8.9%減)、▽官公庁工事が4兆6,373億8 300万円(同19.1%増)、▽海外工事が4,991億7,200万円(同31.1%減)となった。
12月の地域ブロック別受注工事額は、▽北海道が2,471億6,000万円(前年同月比379.6%増)の超大幅増となり、前年同月比では4ヵ月連続増となった。▽東北が818億8,000万円(同5.5%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。▽関東が6,413億0,400万円(同11.6%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽北陸が705億8,100万円(同39.1%増)の大幅増となり、同11ヵ月ぶりの増加となった。
▽中部が1,150億8,900万円(同33.3%減)の大幅減となり、同7ヵ月連続減となった。▽近畿が3,210億6,300万円(同1.3%減)の微減となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。▽中国が509億2,600万円(同38.3%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽四国が530億3,900万円(同321.6%増)の大幅増となり、同3ヵ月連続増となった。▽九州が1,797億7,200万円(同44.7%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少となった。



12月の粗鋼生産698万トン(前年同月比1.1%増)
11月普通鋼建築用受注量44.7万トン(前年同月比7.5%減)

日本鉄鋼連盟は1月23日に発表した2023年12月の銑鉄生産は506.7万トン(前年同月比0.1%増)となり、前年同月比では2ヵ月ぶりの増加。粗鋼生産は698.0万トン(同1.1%増)となり、同2ヵ月ぶりの増加となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が512.9万トン(同0.9%増)となり、同2ヵ月ぶりの増加。▽電炉鋼が185.1万トン(同1.9%増)となり、同2ヵ月連続増となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が544.9万トン(同1.8%増)となり、同2ヵ月ぶりの増加。▽特殊鋼が153.1万トン(同1.2%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。
▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は605.5万トン(同月比1.1%減)となり、同3カ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は479.0万トン(同0.6%減)となり、同3ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は126.5万トン(同2.9%減)となり、同3ヵ月連続減となった。
11月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が44万6,807トン(前年同月比7.5%減)。うち▽非住宅が30万2,239トン(同2.6%減)となり、▽住宅が14万4,586トン(同7.8%減)となった。
22年度(4~11月)上期の用途別受注量では、▽建築用が347万3,040トン(前同期比10.2%減)。うち▽非住宅が244万9,965トン(同13.1%減)となり、▽住宅が102万3,075トン(同2.4%減)となった。
22暦年(1~11月)の用途別受注量では、▽建築用が482万4,737トン(前年同期比1.1%減)。うち▽非住宅が335万1,693トン(同1.5%減)となり、▽住宅が147万3,044トン(同0.2%減)となった。



2023暦年の粗鋼生産8,700万トン(前年比2.5%減)
5年連続の1億トン割れ、2年連続の9千万トン割れ

日本鉄鋼連盟は1月23日に発表した2023暦年概況によると、銑鉄生産は6,304.2万トン(前年比1.7%減)となり、2年連続減となった。粗鋼生産は8,699.6万トン(同2.5%減)となり、2年連続減となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が6,416.7万トン(同1.9%減)、▽電炉鋼が2,282.9万トン(同4.2%減)となり、前年比では転炉鋼、電炉鋼ともに2年連続減となった。粗鋼生産に占める電炉鋼比率は26.2%と前年から0.5ポイント低下した。
鋼種別では、▽普通鋼が6,753.0万トン(同1.9%減)、▽特殊鋼が1,946.6万トン(同4.7%減)となり、前年比では普通鋼、特殊鋼ともに2年連続減となった。▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は7,699.7万トン(同2.1%減)となり、2年連続減となった。鋼種別にみると、▽普通鋼が6,112.7万トン(同1.0%減)、▽特殊鋼は1,587.0万トン(同6.0%減)となり、前年比では普通鋼、特殊鋼ともに2年連続の減少となった。



11月溶接材料の出荷量1万7,071トン(前年同月比6.5%減)
23年度(4月~11月)の出荷量13万6,062トン(前年同期比3.0%減)

日本溶接材料工業会が発表した2023年11月溶接材料の出荷量が1万7,071トン(前年同月比6.5%減)となり、同3ヵ月連続減となった。
出荷量の主な品種は▽SWが7,416トン(前年同月比2.8%増)となり、同1ヵ月で減少に転じた。▽FCWが5,782トン(同0.7%減)となり、同5ヵ月連続減。▽溶接棒が1,738トン(同26.9%減)となり、同4ヵ月連続減。その他を含む総出荷量計では1万7,071トン(同6.5%減)となった。
23年度(4月~11月)の総出荷量は13万6,062トン(前年度同期比3.0%減)となった。一方、23暦年(1月~11月)の総出荷量では18万6,786トン(同3.4%減)となった。
なお、財務省の貿易統計による11月の▽輸出量は2,630トン(同16.1%減)となり、同6ヵ月連続減。▽輸入量は5,492トン(同22.7%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
23年度(4月~11月)の総輸出量は2万1,093トン(前年同期比12.1%減)。総輸入量は4万1,521トン(同15.5%減)となった。一方、23暦年(1月~11月)の総輸出量は2万9,514トン(同8.8%減)。総輸入量は5万8,941トン(同10.8%減)となった。

22年11月-23年11月 溶接材料月別実績表

出荷量 単位/トン
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
2022年 11 7,630 2.3 5,821 ▼1.9 2,378 3.6 18,250 ▼0.2
12 7,073 ▼8.5 5,376 ▼13.5 2,202 ▼6.2 17,056 ▼8.3
2023年 1 6,282 ▼13.6 5,306 ▼4.2 2,382 15.1 16,180 ▼6.9
2 7,156 1.7 5,330 ▼10.4 2,340 10.3 16,961 ▼3.3
3 7,091 ▼10.4 6,096 ▼0.9 2,281 23.6 17,583 ▼3.7
2023年度 4 6,728 ▼6.4 5,660 0.5 1,810 ▼3.9 16,367 ▼2.6
5 6,469 ▼4.8 5,606 1.5 1,972 4.8 16,122 ▼1.0
6 7,554 3.1 5,873 3.2 2,099 ▼11.3 17,740 ▼1.4
7 7,322 6.1 5,403 ▼9.7 2,131 7.8 17,151 ▼2.0
8 7,199 13.2 5,331 ▼3.1 1,910 ▼11.3 16,726 1.4
9 7,608 ▼5.0 5,906 ▼0.7 2,085 ▼12.1 17,802 ▼6.3
10 7,443 1.5 5,639 ▼1.5 1,723 ▼21.2 17,083 ▼4.7
11 7,416 ▼2.8 5,782 ▼0.7 1,738 ▼26.9 17,071 ▼6.5
2023年度(4~11月) 57,739 ▼0.3 45,200 ▼2.4 15,468 ▼10.1 136,062 ▼3.0
2023暦年(1~11月) 78,268 ▼1.9 61,932 ▼2.4 22,471 ▼3.3 186,786 ▼3.4

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。

日本溶接材料工業会

 

【建築プロジェクト】
西日本シティ銀行本館建替え計画は大成建設の施工
S造・RC造・SRC造、地下4階・14階、延床7.6万平方

西日本シティ銀行と福岡地所がJR博多駅前に建設する「西日本シティ銀行本店本館建替えプロジェクト」(福岡市博多区博多駅前3-1-1)は昨年11月に着工した。同ビルの規模はS造・一部RC造・SRC造、地下4階・地上14階建て、延べ床面積約7万5,678平方メートル。内外装のデザインは3XN Architects(デンマーク)、設計は日建設計・大成建設JV。施工は大成建設が担当。26年1月の完成を予定している。
西日本シティ銀行は「洗練されたデザインによって、新しいビルが博多駅前のランドマークとして多くの皆さんに認識されることを願っている」としている。同銀行が保有するビルの連鎖的再開発の初弾として、福岡市の容積率緩和制度「博多コネクティッドボーナス」の認定を受けて同銀行の本店機能やオフィスフロア、商業店舗などが入る複合ビルとなる。
なお、地下階は駐車場や高い音響性能を持った約400人規模のホールを設ける。低層階は商業施設、9階から14階はオフィスフロアとなり、博多駅前エリア最大級の基準階面積約3,927平方メートルのハイグレードオフィスとなる。地下3階の柱頭免震構造を採用し、大規模な地震を想定した耐震性能を実現する。



富田林市新庁舎は村本建設の施工
S造・SRC造・RC造、地下1階・6階建、延床1.5万平米

大阪府富田林市は新庁舎の建て替えを行う。建設地は現在地(常盤町1―1)の敷地約1万0,143平方メートルに建築面積約3,540平方メートル。建築規模は、S造・一部SRC造・RC造、地下1階・地上6階建て、延べ床面積約1万5,432平方メートル。その他工事は南館の一部改修工事、北館と南館解体工事、駐車場・外構整備など含む。工期は2025年4月着工し、 改修・解体工事完了後、新庁舎の全面供用開始は29年4月の予定。設計は佐藤総合計画・YAPJVが担当。建設工事は村本建設が担当する。
 新庁舎では、「市民が主役となり誇りが持てるとともに、災害に強く、全ての人に優しい、自然環境と共生して将来の変化に柔軟に対応できる」施設を目指すとしている。1、2階に市民利用の多い部署を集約し、3階は事務系部署や災害対応機能を配置する。市長室などの特別職エリアは4階に設け、5階は議会エリアとなる。地下は免震構造によって生じる余剰空間を活用して駐車場とする。


【時論・公論】
ケアレスミスを防ぐには「確認第一」

元日に能登半島地震が襲い甚大な被害となった。翌日は羽田空港での航空機衝突事故が起き、自然災害(天災)と人為的過失(人災)とが続いた。日本列島は<地震の巣>と言われ、北米プレート、太平洋プレート、フィリピンプレート、ユーラシアプレートがせめぎあっており、何時・何処で大地震や津波、地滑り起きるか予知できない。
一方の人災は、ヒューマンエラーやケアレスミス(不注意や勘違い)で起きる事故のため防ぐことは可能だ。「300件のヒヤリハット(異常)を、その儘にすると29件の軽微な事故が起き、更にそれを見過ごすと1件の重大な事故となる」(ハインリッヒの法則)である。この法則は、米国損害保険会社のハーバード・ウィリアム・ハインリッヒ安全技師が5,000件の事故調査による経験で生まれた安全法則であり、安全教育では<いの一番>に教えられる。
羽田空港の衝突事故は海上保安庁航空機と日本航空旅客機との激突であり、管制官の指示を海保機のパイロットが勘違いして滑走路入りし、管制官が海保機の滑走路入りをしたランプを見落としたケアレスミスが重なった事故である。日航機パイロットにも少なからず油断があった。典型的なヒューマンエラーによる重大事故であった。
厚生労働省の労働災害統計による死亡事故のピークは高度経済成長期の1960年である。その年の死亡者は、全産業で6,712人、うち建設業は2,652人(占める割合は39.5%)だった。以来、安全衛生講習会や安全対策などが講じられ減少が続き、60年後の2020年は全産業で7割減の802人、うち建設業258人(同32.2%)になった。昨年の全産業では677人、うち建設業199人(同29.4%)となり、依然として建設業が最も多かった。
建設業での事故の多くは、墜落・転落▽挟まれ・巻き込まれ▽崩壊・倒壊▽激突・転倒▽飛来・落下などとなっている。年齢では40歳代、50歳代から最も多いのが60歳代。長時間労働や精神的なストレスや肉体的なことも起因。協力会社を対象とする安全講習会や現場での朝礼(安全確認)などで極力事故を防ぐ対策を講じている。
建築に関係する鉄骨製作会社の事故では、大手鉄骨ファブの工場長は「(建築現場での事故は)建て方作業中の起き、建設業と同じ事故となる。工場内では溶接・切断作業や加工機械操作、クレーン操作、鋼材搬入・鉄骨搬出作業などで多く起きる。業界単独の統計がないが、軽微な事故はあっても死亡事故は少ない」と語っている。
同工場長は「工場認定のソフト基準の技能・技術資格者が安全向上意識と、ハード基準の全自動機化やロボット溶接導入など省力ライン導入でケアレスミスを防いでいる。常に<確認第一>を指導している」と、結んでいた。
【加藤 文雄】