スノウチニュース<№213> 令和4年7月
【鉄骨需要月別統計】
5月鉄骨需要量は35万6,450トン(前年同月比9.3%減)
22年(1~5月)は182万8,450トン(前年同期比1.2%増)
国土交通省が6月30日発表した「建築物着工統計調査」の2022年5月着工総面積は9,704千平方メ―トル(前年同月比6.8%減)となり、前年同月比では1ヵ月で減少に転じた。10,000千平方メートル割れも1ヵ月で戻った。
▽建築主別は、▽公共建築物が259千平方メートル(同30.4%減)となり、同5ヵ月連続減となった。▽民間建築物は9,445千平方メートル(同6.0%減)となり、同1ヵ月で減少となった。
▽用途別は、▽居住建築物は6,785千平方メートル(同5.9%減)となり、同15ヵ月ぶりの減少となった。▽非居住建築物は3,919千平方メートル(同8.4%減)となり、同1ヵ月で減少となった。
▽構造別は、▽鉄骨建築のS造が3,414千平方メートル(同11.9%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽SRC造が301千平方メートル(同178.2%増)の大幅増となり、同6ヵ月連続増となった。
一方、▽RC造が1,797千平方メートル(同10.0%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽W造が4,107千平方メートル(同6.2%減)となり、同5ヵ月連続減となった。
▽鉄骨需要換算では、S造は34万1,400トン(前年同月比11.9%減)となり、同1ヵ月で減少となった。SRC造は15,050トン(同178.2%増)となり、同6ヵ月連続増となった。鉄骨造の合計では前月比14.7%減の35万6,450トン(前年同月比9.3%減)となった。
22暦年(1~4月)の需要量は、S造が177万4,900トン(前年同期比0.2%減)、SRC造が5万3,550トン(同84.7%増)となり、鉄骨造の合計では182万8,450トン(同1.2%増)となった。
22年度(4~5月)の需要量は、S造が74万4,700トン(前年同期比3.9%減)、SRC造が2万9,850トン(同161.6%増)となり、鉄骨造の合計では77万4,550トン(同1.5%減)となった。
21年5月-22年5月 鉄骨需要量の推移
年/月 | S造(TON) | 前年比(%) | SRC造(TON) | 前年比(%) | 鉄骨造計(TON) | 前年比(%) |
2021/5 | 387,600 | 10.1 | 5,400 | -62.6 | 393,000 | 7.4 |
6 | 412,400 | 13.0 | 8,750 | 106.2 | 421,150 | 14.1 |
7 | 370,100 | 4.5 | 5,450 | 158.8 | 375,550 | 5.4 |
8 | 322,500 | 10.7 | 3,700 | 37.0 | 326,200 | 11.9 |
9 | 342,700 | 1.7 | 8,950 | -29.0 | 351,650 | 0.7 |
10 | 530,900 | 61.7 | 11,000 | 105.3 | 541,900 | 65.7 |
11 | 346,400 | 15.4 | 7,050 | -50.5 | 353,450 | 12.5 |
12 | 427,400 | 26.5 | 18,200 | 61.4 | 445,600 | 27.6 |
2022/1 | 347,700 | 9.2 | 7,250 | 50.6 | 354,950 | 9.9 |
2 | 331,400 | 7.5 | 11,500 | 15.9 | 342,900 | 7.8 |
3 | 351,300 | -6.7 | 5,050 | 73.2 | 356,350 | -6.1 |
4 | 403,100 | 4.0 | 14,700 | 144.8 | 417,800 | 6.1 |
5 | 341,400 | -11.9 | 15,050 | 178.2 | 356,450 | -9.3 |
暦年計(22/1~5) | 1,774,900 | -0.2 | 53,550 | 84.7 | 1,828,450 | 1.2 |
年度計(22/4~5) | 744,700 | -3.9 | 29,850 | 161.6 | 774,550 | -1.5 |
(国土交通省調べ)
【建築関連統計】
日建連5月総受注額9,068億円(前年同月比22.7%増)
民間工事6,901億6,400万円(前年同月比44.5%増)
日本建設業連合会(日建連)が6月27日に発表した会員企業94社の2022年5月受注工事総額は9,068億4,200万円(前年同月比22.7%増)となり、1兆円を割るものの前年同月比で2ヵ月連続増となった。うち民間工事が6,901億6,400万円(同44.5%増)となり、同2ヵ月連続増となった。官公庁工事が1,350億3,500万円(同47.5%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少に転じた。
国内工事が8,276億6,300万円(同12.4%増)となり、同2ヵ月連続増となった。民間工事の6,901億6,400万円のうち、▽製造業が1,715億7,900万円(同96.6%増)の大幅増となり、同5ヵ月連続増になった。▽非製造業が5,185億8,500万円(同32.8%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。
官公庁工事の1,350億3,500万円のうち、▽国の機関が845億1,600万円(同58.6%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少に戻った。▽地方の機関が505億1,900万円(同5.6%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽その他が24億6,400万円(同191.9%増)の大幅増となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。▽海外工事が791億7,900万円(同2,398.5%)の超大幅増となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。
22年度(4~5月)の受注工事総額が1兆8,374億4,900万円(前年同期比24.0%増)となり、うち▽民間工事額が1兆3,508億1,600万円(同39.9%増)、▽官公庁工事が3,964億8,800万円(同19.6%減)、▽その他工事が30億7,400万円(同26.6%増)、▽海外工事が870億7,100万円(同313.4%減)となった。
5月の地域ブロック別の受注工事額は、▽北海道が664億0,100万円(前年同月比128.6%増)の超大幅増となり、前年同期比では2ヵ月連続増となった。▽東北が642億8,200万円(同16.2%増)となり、同6ヵ月ぶりの増加となった。▽関東が3,351億9,400万円(同2.2%増)の微増となり、同2ヵ月連続増となった。▽北陸が254億6,800万円(同46.1%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。
▽中部が514億3,400万円(同19.4%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽近畿が1,625億3,800万円(同58.4%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。▽中国が460億2,500万円(同24.6%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽四国が126億6,800万円(同16.6%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。▽九州が636億5,900万円(同24.5%減)となり、同4ヵ月ぶりの減少となった。
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5月粗鋼生産806.5万トン(前年同月比4.2%減)
4月普通鋼建築用52.5万トン(同1.8%増)
日本鉄鋼連盟は6月22日に発表した2022年5月の銑鉄生産は570.9万トン(前年同月比6.8%減)となり、前年同月比で5ヵ月連続減。粗鋼生産は806.5万トン(同4.2%減)となり、同5ヵ月連続減となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が593.5万トン(同6.3%減)となり、同5ヵ月連続減少。▽電炉鋼が212.9万トン(同2.0%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が628.8万トン(同2.6%減)となり、同5ヵ月連続減。▽特殊鋼が177.7万トン(同9.4%減)となり、同4ヵ月連続減となった。
▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は696.7万トン(同1.8%減)となり、同5ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は555.8万トン(同0.4%増)となり、同5ヵ月ぶりの増加となった。
▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は140.9万トン(同9.6%減)となり、同4ヵ月連続減となった。
一方、4月の普通鋼鋼材用途別受注量では、▽建築用は52万5,495トン(同1.8%増)。うち▽非住宅が38万9,634トン(同7.0%増)、▽住宅が13万5,861トン(同10.6%減)となった。
22年1~4月の普通鋼鋼材用途別受注量では、▽建築用は206万2,621トン(前年同期比6.5%増)。うち▽非住宅が153万4,486トン(同8.0%増)となり、▽住宅が52万8,135トン(同2.3%増)となった。
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4月溶接材料の出荷量1万6,806トン(前年同月比14.7%減)
22年(1~4月)の総出荷量7万0,001トン(前年度比1.2%減)
日本溶接材料工業会が発表した2022年4月の溶接材料実績(生産・出荷・在庫)では、生産量は1万6,997トン(前年同月比7.1%減)の前年同月比で12ヵ月ぶりの減少。出荷量は1万6,806トン(同14.7%減)となり、同13ヵ月ぶりの減少。在庫量は1万7,607トン(同12.8%増)となり、同2ヵ月連続増となった。
生産量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が7,017トン(同5.5%減)の同13ヵ月ぶりの減少。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,910トン(同2.3%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少。▽被覆アーク溶接棒が1,839トン(同14.3%減)となり、同9ヵ月ぶりの減少。その他を含む生産量計では1万6,997トン(同7.1%減)となった。
出荷量の主な品種は▽SWが7,190トン(同20.1%減)の同13ヵ月ぶりの減少。▽FCWが5,633トン(同14.1%減)の同3ヵ月ぶりの減少。▽溶接棒が1,883トン(同24.6%減)となり、同2ヵ月連続減。その他を含む出荷量計では1万6,806トン(同14.7%減)となった。
在庫量の主な品種は▽SWが6,020トン(同15.3%増)となり、同3ヵ月連続増。▽FCWが6,086トン(同0.8%増)の同17ヵ月ぶりの増加。▽溶接棒が3,634トン(同62.5%増)となり、同7ヵ月連続増。その他を含む在庫量計では1万7,607トン(同12.8%増)となった。
22年1~4月の総生産量は7万2,001トン(前年同期比5.2%増)となり、総出荷量は7万0,001トン(同1.2%減)となった。なお、財務省の貿易統計による4月の輸出量は2,518トン(前年同月比19.7%減)となり、輸入量は5,988トン(同16.4%減)となった。
21年4月-22年4月 溶接材料月別実績表
生産量 | 単位/トン | ||||||||
年/年度 | 月 | ソリッドワイヤ | 前年比 % |
フラックス入りワイヤ | 前年比 % |
被 覆 溶接棒 |
前年比 % |
合 計 | 前年比 % |
2021年度 | 4 | 7,426 | 4.2 | 6,047 | ▼10.7 | 2,145 | 0.0 | 18,294 | ▼2.3 |
5 | 7,329 | 32.8 | 5,302 | ▼0.7 | 1,994 | 15.5 | 16,917 | 14.7 | |
6 | 7,947 | 58.7 | 6,488 | ▼3.8 | 2,432 | 14.7 | 19,285 | 17.5 | |
7 | 7,688 | 51.0 | 5,861 | ▼5.7 | 2,217 | ▼0.4 | 17,975 | 11.1 | |
8 | 6,372 | 25.8 | 4,586 | ▼6.8 | 2,406 | 49.0 | 15,365 | 11.1 | |
9 | 7,512 | 31.4 | 6,133 | ▼0.8 | 2,404 | 35.4 | 18,148 | 15.3 | |
10 | 7,822 | 11.8 | 6,430 | 10.3 | 2,471 | 43.0 | 18,810 | 9.9 | |
11 | 7,922 | 5.2 | 6,390 | 9.1 | 2,419 | 31.1 | 19,137 | 9.8 | |
12 | 7,490 | 12.9 | 6,017 | 13.6 | 2,396 | 44.3 | 18,249 | 14.0 | |
1 | 7,060 | 17.1 | 4,866 | ▼9.0 | 2,141 | 18.7 | 16,564 | 7.4 | |
2 | 7,592 | 12.0 | 6,011 | 6.5 | 2,236 | 12.8 | 18,387 | 8.9 | |
3 | 8,376 | 13.6 | 7,162 | 23.7 | 2,339 | 8.4 | 20,053 | 12.6 | |
4 | 7,017 | ▼5.5 | 5,910 | ▼2.3 | 1,839 | ▼14.3 | 16,997 | ▼7.1 | |
2021年度 (4月) |
計 | 7,017 | ▼5.5 | 5,910 | ▼2.3 | 1,839 | ▼14.3 | 16,997 | ▼7.1 |
2022暦年 (1~4月) |
計 | 30,045 | 8.8 | 23,949 | 4.9 | 8,555 | 5.8 | 72,001 | 5.2 |
注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。
出荷量 | 単位/トン | ||||||||
年/年度 | 月 | ソリッドワイヤ | 前年比 % |
フラックス入りワイヤ | 前年比 % |
被 覆 溶接棒 |
前年比 % |
合 計 | 前年比 % |
2021年度 | 4 | 7,996 | 20.7 | 6,561 | 1.4 | 2,497 | 32.5 | 19,700 | 12.6 |
5 | 6,937 | 24.6 | 5,865 | 2.8 | 2,146 | 6.0 | 17,016 | 6.7 | |
6 | 7,981 | 43.0 | 6,340 | ▼2.8 | 2,216 | 2.5 | 18,997 | 12.7 | |
7 | 7,353 | 48.6 | 5,557 | ▼6.6 | 2,101 | 2.8 | 17,173 | 7.8 | |
8 | 6,834 | 28.8 | 5,535 | 3.2 | 2,345 | 22.5 | 16,871 | 12.3 | |
9 | 8,231 | 29.1 | 6,063 | ▼0.4 | 2,154 | 6.2 | 18,815 | 13.5 | |
10 | 7,377 | 9.9 | 6,320 | 9.8 | 2,373 | 24.9 | 18,118 | 7.2 | |
11 | 7,460 | 4.0 | 5,935 | 0.1 | 2,295 | 26.5 | 18,290 | 6.3 | |
12 | 7,738 | 8.3 | 6,220 | 10.8 | 2,348 | 22.4 | 18,614 | 9.4 | |
1 | 7,271 | 4.9 | 5,540 | ▼5.8 | 2,069 | 12.6 | 17,387 | 2.0 | |
2 | 7,039 | 2.8 | 5,951 | 4.6 | 2,121 | 6.7 | 17,544 | 4.1 | |
3 | 7,915 | 8.9 | 6,149 | 13.8 | 1,845 | ▼3.3 | 18,264 | 5.7 | |
4 | 7,190 | ▼20.1 | 5,633 | ▼14.1 | 1,883 | ▼24.6 | 16,806 | ▼14.7 | |
2021年度 (4月) |
計 | 7,190 | ▼20.1 | 5,633 | ▼14.1 | 1,883 | ▼24.6 | 16,806 | ▼14.7 |
2022暦年 (1~4月) |
計 | 29,415 | 1.3 | 23,273 | ▼1.1 | 7,918 | ▼3.8 | 70,001 | ▼1.2 |
注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。
日本溶接材料工業会
【建築プロジェクト】
東京駅前常盤橋PJの超々高層ビル「Torch Tower」
S造・63階・延床54.4万平米は清水建設が施工
三菱地所は、東京駅北東の複合開発「東京駅前常盤橋プロジェクト・B棟」の超高層複合ビル「Torch Tower(トーチタワー)」(東京都千代田区大手町2-8-1ほか)は、国内最高の高さ390メートルとなる。その施工の優先交渉権者を清水建設に決めた。既存施設の「日本ビル」と「朝日生命大手町ビル」の解体工事も担当する。2023年度に着工し、27年度完成をめざす。
ビル名称の「Torch Tower」は、トーチ風(たいまつ型)のデザインを表わしたもの。建築規模は、S造・SRC造、地下4階・地上63階建て(高さ約390メートル)、延べ床面積約54万4,000平方メートルの超高層複合ビルとなる。設計は三菱地所設計が担当し、23年度に着工し、27年度に竣工する予定。
同ビルが完成すれば、大阪・阿倍野区の「あべのハルカス」(約300メートル)や、建設中の東京・港区の「虎ノ門・麻布台プロジェクト・メインタワー」(同330メートル、23年春完成)を抜き、国内最高のビルとなる。
同ビルの配置としては、地下3階~地上6階は商業施設、MICE(国際的なイベント)に対応可能なホール。メインのオフィスは7階~53階となり、54階以上の高層階は展望施設、国際級ホテル(約100室)と大手町・丸の内・有楽町エリア初の高級賃貸レジデンス(約50戸)となる。
東京駅前常盤橋プロジェクトは、同ビル(B棟)のほか、A・C・D棟構成となり、総延べ床面積は約74万平方メートル。昨年6月に「常盤橋タワー」(14.6万平方メートル)、今年3月には「銭瓶町ビルディング」(3万平方メートル)が完成している。同ビル着工で同プロジェクトは最終段階を迎える。
完成した「常盤橋タワー」(A棟)は、S造・SRC造、地下5階・地上38階(建築基準法上は地上40階)、高さ約212メートル、延べ床面積約14万6,000平方メートル。設計は三菱地所設計、施工は戸田建設。18年1月着工し、21年6月完成。商業ゾーン「TOKYO TORCH Terrace」(トウキョウトーチテラス)は7月21日より順次オープン。
「変電所棟」(C棟)は地下4階、延べ床面積約2万平方メートル。プロジェクト中央地下の東京電力変電所を改修・機能更新し、地上部には大規模な広場となる。常盤橋タワー側Ⅰ期の設計は三菱地所設計、施工は戸田建設が担当。18年1月着工し、21年6月完成。Torch Tower側Ⅱ期の設計は三菱地所設計、施工は未定、23年度着工、27年度完成予定。
「銭瓶町ビルディング」(D棟)は、S造・SRC造、地下3階・地上9階建て(高さ約53メートル)、延べ床面積約3万平方メートル。東京都下水道局の下水ポンプ場を北側に移設し、ビルは東京都の所有となり、下水道局が入る。設計は三菱地所設計・日本水工設計、施工は三井住友建設が担当。17年4月着工し、22年3月完成した。
【時論・公論】
鉄骨倉庫・物流施設の建設分析
この数年の倉庫・物流施設の建設需要が旺盛である。かつて倉庫は港湾・河川沿いに切妻、ノコギリ形屋根の平屋建てだった。今では高速道のIC周辺か幹線道沿いにランプウェイ付の無窓ながら瀟洒の施設になっている。多くは4階建てで、稀に高層建てもある。物流増加と効率化に伴い、IoやIT技術による全自動化が図られている。
建築主は、▽倉庫業は三井倉庫、三菱倉庫、安田倉庫など老舗企業と新興企業▽運送業は日本通運、ヤマト運輸、佐川急便、センコーなど大手企業に地域企業▽物流業は三井不動産、三菱地所、東急不動産、野村不動産などのデベロッパーやプロロジス、GLP、ESRなど外資や投資法人をはじめ総合商社、通販企業などとなる。
一方、製造・販売業では海外生産・調達などのサプライチェーン施設のために自社建設や賃貸対応となっている。特に建設需要増は、ネット通販の増大と迅速化を図るため物流業界はロジスティクス的(保管・梱包・配送)な役割を果たすため規模も年々大型化し、1拠点施設で延べ床面積が37万平方メートルの巨大計画が出現する。
倉庫建築の躯体構造は、鉄骨系のS造(鉄骨構法)とSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート構法)、RC造(鉄筋コンクリート構法)、PCaPC造(プレキャスト・プレストレストコンクリート構法)になる。それら各構法の柱と梁を組み合わせた混合造(ハイブリット構法)に大別される。この4年間に建設した倉庫・物流施設のうち鉄骨系が約7割を占める。
鉄骨系実態(延床1万平米以上、着工ベース)での着工件数は、18暦年がS造29件、鉄骨造・混合造3件の計32物件。19暦年がS造57件、SRC造1件、鉄骨造・混合造6件の計64物件。20歴年がS造70件、SRC造3件、鉄骨造・混合造9件の計82物件。21暦年がS造108件、SRC造1件、鉄骨造・混合造9件の計118件物となる。
▽階高で最多の4階建ての占有率は、18暦年が15件(46.9%)。19暦年が25件(39.1%)。20歴年が36件(43.9%)。21暦年が50件(42.4%)となり、全棟数の4割以上を占める。次いで3階、2階、5階建てとなる。
▽棟当たりの延べ床面積平均は、18暦年が2万8,310平方メートル。19暦年が3万7,700平方メートル。20歴年が4万0,770平方メートル。21暦年が3万2,260平方メートルと、年々規模が大きくなる傾向にある。
鉄骨系との混合造ではS造・RC造が最も多く、次にSRC造・S造、S造・SRC造となる(RC造、PCaPC造・混合造は除外)。22暦年1~6月に着工する鉄骨系は70物件。S造が63件と90%占め、階高は4階建てが36件と半数を占める。延べ床面積平均は3万9,494平方メートル。22年下半期の建設需要も順調に推移している。
【加藤 文雄】