スノウチニュース<№179> 令和元年9月

【鉄骨需要月別統計】
7月鉄骨需要量48万2,150トン(前年同月比0.7%増)
S造は47万5,600トン、SRC造は6,550トン

国土交通省が8月30日発表した「建築物着工統計調査」の2019年7月着工総面積は11,974千平方メ―トル(前年同月比0.9%増)の前年同月比では2ヵ月連続増となり、前年同月比で4ヵ月連続の10,000千平方メートル台となった。

▽建築主別は、公共建築物が637千平方メートル(同11.3%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。民間建築物は11,338千平方メートル(同1.7%増)の微増となり、同2ヵ月連続増となった。同2ヵ月連続で11,000千平方メートルを超えた。

▽用途別は、居住建築物は6,995千平方メートル(同1.2%増)の微増となり、同2ヵ月連続増となった。非居住建築物は4,980千平方メートル(同0.4%増)の微増となり、同2ヵ月連続増となった。

▽構造別は、鉄骨建築のS造は4,756千平方メートル(同0.7%増)の微増となり、同5ヵ月ぶりの増加となった。SRC造は131千平方メートル(同49.9%減)となり、同1ヵ月で減少になった。RC造は1,928千平方メートル(同0.7%減)の微減となり、同3ヵ月ぶりの減少となった。W造は5,069千平方メートル(同4.2%増)となり、同6ヵ月連続増となった。

▽鉄骨需要換算では、S造は47万5,600トンとなり、同2ヵ月連続で40万トン超えとなった。SRC造は低水準の6,550トンとなった。鉄骨造計は前月比で11.6%増となり、前年同月比では0.7%減の48万2,150トンとなった。

18年7月-19年7月 鉄骨需要量の推移

S 造 前年比 SRC造 前年比 鉄骨造合計
18/7 472,400 8.8 13,000 20.3 485,400
8 438,500 -4.6 1,500 -84.5 440,000
9 425,300 -3.6 5,900 -33.2 431,200
10 440,200 7.3 9,950 -19.1 450,150
11 412,200 -8.9 4,100 -68.1 416,300
12 392,600 7.5 7,650 20.9 400,250
19/1 377,900 -4.6 3,200 -45.4 381,100
2 376,200 1.8 6,650 -80.5 382,850
3 338,500 -18.6 4,600 -56.5 343,100
4 391,900 -9.3 10,000 49.9 401,900
5 376,100 -12.0 7,350 -10.7 383,450
6 428,300 -9.1 3,750 109.3 432,050
7 475,600 0.7 6,550 -49.9 482,150

(国土交通省調べ)

 

【建築関連統計】
日建連の7月受注約1兆3,010億円(前年同月比30.7%増)
民間工事9,483億円(前年同期比34.2%増)

日本建設業連合会(日建連)が8月27日に発表した会員企業96社の2019年7月受注工事総額は1兆3,009億8,900万円(前年同月比30.7%増)の大幅増となり、前年同月比では4ヵ月ぶりの増加となった。うち民間工事は9,482億8,200万円(同34.2%増)の大幅増となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。官公庁工事は2,435億6,400万円(同29.0%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。

国内工事は1兆2,017億6,400万円(同33.8%増)の大幅増となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。民間工事の9,482億8,200万円のうち、▽製造業が2,576億円(同25.1%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。▽非製造業は6,906億8,200万円(同37.9%増)の大幅増となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。

官公庁工事の2,435億6,400万円のうち、▽国の機関が1,097億8,700万円(同1.2%増)の微増となり、同2ヵ月連続増となった。▽地方の機関は1,337億7,700万円(同66.5%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。▽その他が99億1,800万円(同331.0%増)となり、同3ヵ月連続増となった。▽海外工事は992億2,500万円(同1.9%増)となり、微増ながら同1ヵ月で増加に転じた。

7月分の地域ブロック別受注工事額は、▽北海道478億9,000万円(前年同月比28.0%減)となり、前年同期比では1ヵ月で減少となる。▽東北1,158億9,900万円(同87.2%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増となる。▽関東4,543億1,900万円(同14.8%増)となり、同2ヵ月連続増となる。▽北陸472億3,800万円(同45.2%増)の大幅増となり、同6ヵ月ぶりの増加となった。

▽中部1,603億2,400万円(同76.2%増)の大幅増となり、同4ヵ月ぶりの増加となる。▽近畿1,603億9,400万円(同12.5%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽中国1,148億1,900万円(同236.1%増)の2倍超の大幅増となり、同4ヵ月ぶりの増加となる。▽四国190億3,400万円(同12.5%減)となり、同4ヵ月連続減となった。▽九州818億4,300万円(同58.2%増)の大幅増となり、同4ヵ月ぶりの増加となった。

 

19年7月の粗鋼生産は838.7万トン(前年同月比0.4減)
6月の普通鋼鋼材建築用47.3万トン(前年同月比18.9%減)

日本鉄鋼連盟が8月23日に発表した2019年7月の鉄鋼生産は、銑鉄生産は657.6万トン(前年同月比4.4%増)となり、前年同月比で2ヵ月連続増となった。粗鋼生産は838.7万トン(同0.4%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。

炉別生産では、▽転炉鋼が654.5万トン(同3.0%増)となり、同2ヵ月連続増、▽電炉鋼が184.1万トン(同10.8%減)となり、同5ヵ月連続減となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が638.4万トン(同0.04%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少、▽特殊鋼が200.3万トン(同1.5%減)となり、同8ヵ月連続減となった。

▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は739.7万トン(同0.6%減)となり、同13ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は574.3万トン(同0.5%減)となり、同8ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は165.4万トン(同0.9%減)となり、同7ヵ月連続減となった。

6月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用が47万3,233トン(同18.9%減)の大幅減となった。うち▽非住宅用が33万6,551トン(同20.7%減)となり、▽住宅用が13万6,682トン(同14.2%減)と、それぞれ大幅な減少となった。

19年上期(1~6月)では、▽建築用が304万0,625トン(前年同期比10.2%減)となり、うち▽非住宅用が209万8,974トン(同14.9%減)の大幅減となり、▽住宅用が94万1,651トン(同2.2%増)の微増となった。

19年6月溶接材料の出荷量2万1,134トン(前年同月比7.3%増)
 19年1~6月の出荷量12万7,107トン(前年同月比5.4%増)

日本溶接材料工業会が発表した2019年6月の溶接材料生産・出荷・在庫実績によると、生産量は2万1,003トン(前年同月比8.1%増)の9ヵ月連続増となった。出荷量は2万1,134トン(同7.3%増)となり、同9ヵ月連続増となった。在庫量は1万7,320トン(同1.5%減)となり、同2ヵ月連続減となった。

生産量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)は9,033トン(前年同月比9.2%増)となり、前年同月比9ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,013トン(同20.9%増)の大幅増となり、同3ヵ月連続増となった。▽被覆アーク溶接棒は2,483トン(同12.8%増)となり、同2ヵ月連続増となった。その他を含む生産量計は2万1,003トン(同8.1%増)となった。

出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が8,630トン(同5.5%増)となり、同9ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,439トン(同16.7%増)の大幅増となり、同4ヵ月連続増となった。▽被覆アーク溶接棒は2,425トン(同17.5%増)の大幅増となり、同3ヵ月連続増となった。その他を含む出荷量計は2万1,134トン(同7.3%増)となった。

在庫量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が4,540トン(同4.8%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,593トン(同1.9%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。▽被覆アーク溶接棒は3,080トン(同17.9%減)となり、同9ヵ月連続減となった。その他を含む出荷量計は1万7,320トン(同1.5%減)となった。

2019年半期(1~6月)の生産量が12万6,718トン(前年同期比5.9%増)となり、出荷量が12万7,107トン(同5.4%増)となった。

 

【建築プロジェクト】
東急電鉄ら、歌舞伎町1丁目地区開発計画が着工
S・SRC造・48階、8.8万平米、22年8月完成

東京急行電鉄と東急レクリエーションは、東京都新宿区で「歌舞伎町1丁目地区開発計画(新宿TOKYUMILANO再開発計画)」の建設工事を清水建設・東急建設JVで着手した。

同計画はホテルや劇場・映画館などで構成する“屋外劇場的都市空間”の超高層ビルとなる。実施設計・監理は久米設計・東急設計コンサルタントJVが担当し、外装デザインは永山祐子建築設計が担当している。2022年8月31日の完成をめざす。

超高層複合ビルはS造・SRC造、地下5階・地上48階・塔屋1層建て、延べ床面積約8万8,000平方メートル、高さは225メートルの規模で、使用される鉄骨量は約1.8万トン超が見込まれる。建設地は東京都新宿区歌舞伎町1-29-1ほか(敷地面積4,604平方メートル)。新宿TOKYU MILANO(新宿ミラノ座)跡地開発となる。

ビルの概要は、地下階には最大収容1,500人のライブホール、8~11階には約850席を備える劇場を設ける。12~15階は映画館、上層階はホテルとなる。劇場・ライブホールは、ソニー・ミュージックエンタテインメントと東急レクリエーション、東急電鉄の3社の協同出資により18年12月に設立した「TSTエンタテイメント」が、映画館は東急レクリエーションが運営する。

低層階に飲食店などを入れ、17~47階のホテルは東急ホテルズが運営する。施設周辺の都道302号(職安通り)の車線再構築などによる回遊性向上にも取り組むとしている。

 

【雑論・正論】
陵墓古墳と霍去病の話

ユネスコ(国連教育科学文化機関)世界文化遺産登録に大阪・堺市の<大仙陵古墳>など44古墳の「百舌鳥・古市古墳群」が決まった。日本で23番目の遺産登録だ。陵墓の古墳はエジプトの<ピラミット>をはじめ、韓国の<朝鮮王朝の王墓群>、北朝鮮の<高句麗古墳群>、中国の<秦の始皇陵>などが世界遺産になっている。

百舌鳥・古市古墳群登録のニュースで、30数年前に読んだ司馬遼太郎氏の『余話として』(文春文庫刊)を探し出し、最終章の<霍去病の墓>を再読。霍去病(かくきょへい)とは若き漢王朝の将軍で、<病が去る>と名付けられた霍将軍は24歳(BC140~117年)で病死する。霍将軍の時代は前漢帝国の最盛期でその功績を称え、漢王朝の武帝が自らの陵墓<茂陵>の近くに霍将軍の墓を建てた。この墓を司馬氏が見学に行った時の逸話。

司馬氏の文章を引用すると、「紀元前の漢王朝は農業帝国であったが、漢の一郡にもあたらない騎馬民族の<匈奴・モンゴル族>に苦しめられていた。漢王朝は地主代表とする<封建制度>であり、匈奴の<奴隷制度>から守るため、武帝の匈奴との戦いは正義の戦いとしていた。この戦いで武勇を発揮したのが霍将軍」と記述する。

また、「霍去病の生い立ちは奴隷の孫にあたる。奴隷だった祖母(後に衛媼)は色好みの小役人・鄭季と通じ、男女何人か生む。その娘のひとり<子夫>が美人で、漢の武帝に見初められ後宮に入り、皇太子を生んで皇后におさまる。子夫皇后の弟<衛青>も武帝に引き立てられ、才能と武運が認められ匈奴と戦う大将軍となる。皇后の姉の<少児>が生んだ男児が霍去病で、おじの衛青とは一世代違うため、霍少年は武帝に可愛がられた」。

おじの衛青は情が深く謙虚だが、「霍去病は若くして高位についたせいか、木で鼻をくくったようなところがあって、部下を恤むというところがなかった。霍将軍は出撃する毎に奇跡的な戦果を挙げ、匈奴を衰弱させるまでの戦いをするため、おじの衛青将軍配下の軍人は霍将軍のもとにつくことを望んだ」。おじと甥は真反対の性格であった。

その霍将軍が「燃えつきるようにして沙漠の戦場で病死」する。この報を聞いた武帝は大いに悲しみ、自からの陵墓のそばに若き天才を葬るよう指示する。詳しい話は司馬氏の著書に譲るとし<霍去病の墓>の経緯である。

中国政府は秦の始皇帝の<兵馬俑>など皇陵・陵墓の発掘には積極的で調査報告は公表にされ、新たな歴史が書き換えられている。大仙陵古墳は<仁徳天皇陵>とされるが被葬者が確定されていない。陵墓古墳は歴史の宝庫であるが皇室文化財のため見学も学術調査もできない。その扉を開けられるのはいつの時代になるか。

【加藤 文雄】