スノウチニュース<№158>平成30年1月【謹賀新年】
【鉄骨需要月別統計】
11月の鉄骨需要量46万5,600トン(前年同月比11.2%増)
17年4~11月累計363万0,300トン(前年同期比4.1%増)
国土交通省が12月27日発表した「建築物着工統計調査」の2017年11月着工総面積は11,591千平方メ―トル(前年同月比2.3%増)の前年同月比で2ヵ月連続増となった。1.1万平方メートル超えは8ヵ月連続となった。▽建築主別では、公共建築物が447千平方メートル(同2.8%減)の同1ヵ月で減少に転じた。民間建築物は11,144千平方メートル(同2.5%増)と同2ヵ月連続増となる。1千万平方メートル超えは8ヵ月連続となった。
▽用途別では、居住建築物は7,127千平方メートル(同0.0以下の微減)ながらも同5ヵ月連続減となる。非居住建築物は4,464千平方メートル(同6.3%増)と同3ヵ月連続増となった。
▽構造別では、鉄骨系のS造は4,527千平方メートル(同9.0%増)の同3ヵ月連続増となった。SRC造は258千平方メートル(同296.5%増)と同2ヵ月連続の大幅増となった。一方、RC造は1,718平方メートル(同9.9%減)の同2ヵ月で減少となった。木造は5,013千平方メートル(同2.4%減)の同6ヵ月連続減となっている。
▽鉄骨需要換算は、S造は45万2,700トンとなり、42万トン超えは8ヵ月連続となった。SRC造は1万2,900トンとなり、1万トン超えは2ヵ月連続となった。鉄骨計は前年同月比11.2%増の46万5,600トンとなり、前月比で10.2%の増加となった。
17年4月~11月までの累計では、S造が前年同期比3.7%増の354万7,800トンとなり、SRC造では同27.9%増の8万2,500トン。鉄骨合計では363万0,300トンの同4.1%増となった。
16年11月-17年11月 鉄骨需要量の推移
月 | S 造 | 前年比 | SRC造 | 前年比 | 鉄骨造合計 |
16/11 | 415,400 | 4.5 | 3,250 | -15.7 | 418,650 |
12 | 407,600 | 7.6 | 8,700 | -41 | 416,300 |
17/1 | 426,500 | 21.9 | 6,400 | -30.5 | 432,900 |
2 | 399,800 | 3.6 | 23,500 | 35.4 | 423,300 |
3 | 339,200 | -1.9 | 5,450 | -63 | 344,650 |
4 | 435,200 | 22.3 | 9,700 | -6.6 | 444,900 |
5 | 435,600 | -6.8 | 8,800 | -55.7 | 444,400 |
6 | 479,500 | 5.2 | 9,400 | -1.2 | 488,900 |
7 | 434,100 | 11 | 10,800 | 148.5 | 444,900 |
8 | 459,500 | -7.2 | 9,800 | 306.9 | 469,300 |
9 | 440,900 | 0.2 | 8,800 | -2.5 | 449,700 |
10 | 410,300 | 2.2 | 12,300 | 116.8 | 422,600 |
11 | 452,700 | 9.0 | 12,900 | 296.5 | 465,600 |
(国土交通省調べ)
【建築関連統計】
日建連11月受注額約1兆1,979億円(前年同月比21.4%増)
民間工事額約9,242億円(前年同期比19.5%増)
日本建設業連合会(日建連)が12月26日に発表した会員企業96社の2017年11月受注工事総額は1兆1,979億4,300万円(前年同月比21.4%増)となり、前年同月比で3ヵ月連続の1兆円台を維持した。うち民間工事は9,242億4,600万円(同19.5%増)の同3ヵ月連続増となった。一方、官公庁工事も2,514億7,700万円(同11.0%増)の同2ヵ月連続増となった。
国内工事は1兆1,406億7,100万円(同17.6%増)となり、同2ヵ月連続増となった。民間工事は9,242億4,600万円のうち、▽製造業が1,819億9,200万円(同30.1%増)となり、同5ヵ月連続の大幅増となった。▽非製造業も7,422億5,400万円(同17.2%増)の同1ヵ月で大幅増に転じた。
官公庁工事は2,514億7,700万円のうち、▽国の機関が1,554億6,800万円(同69.2%増)の同2ヵ月連続の大幅増となった。▽地方の機関は600億0,900万円(同41.3%減)となり、同1ヵ月で大幅減となる。▽その他が9億4,800万円(同56.5%減)の同2ヵ月連続の大幅減となった。なお▽海外工事は572億7,200万円(同236.5%増)の大幅増に転じた。
なお、受注額総計の17年度4~11月累計では9兆3,293億5,700万円(前年同期比0.7%増)となり、国内工事では9兆0,055億6,700万円(同1.7%減)で、そのうち民間工事は6兆5,522億3,900万円(同3.0%増)となった。官公庁工事は2兆4,352億円(同12.4%減)の厳しい状態。海外工事は3,237億9,000万円(同204.6%増)と好調に推移している。
一方、地域ブロック別11月分の受注工事額は、▽北海道784億3,700万円(前年同月比333.0%増)となり、前年同期比で3.3倍強となり6ヵ月連続増となる。▽東北871億5,300万円(同18.5%減)の同1ヵ月で減少になった。▽関東4,929億4,900万円(同7.7%増)の同2ヵ月連続増となる。▽北陸542億0,600万円(同113.6%増)の1.1倍強増で、同1ヵ月増加に転じた。
▽中部1,755億0,200万円(同61.2%増)の同2ヵ月連続増となった。▽近畿1,293億6,300万円(同8.0%増)の同3ヵ月連続増となる。▽中国479億4,500万円(同66.5%増)の同1ヵ月で大幅増に転じた。▽四国171億8,700万円(同3.7%増)の同1ヵ月で増加に転じる。▽九州579億0,900万円(同34.0%減)の同4月連続の大幅減となる。
地域ブロックにおいて前年同月比での増加は北海道、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国の7ブロックで、減少は東北、九州の2ブロックとなった。
11月粗鋼生産870万トン(前年同月比1.0%増)
普通鋼鋼材受注の10月建築用52.5万トン(同3.9%増)
日本鉄鋼連盟が12月20日に発表した2017年11月の鉄鋼生産は、銑鉄、粗鋼は前月比では減少したが、前年同月比では増加した。熱間圧延鋼材は前月比、前年同月比とも減少した。
銑鉄生産は642.4万トンと前年同月比0.5%増となり、前年同月比では10ヵ月ぶりの増加となった。粗鋼生産は870.2万トン(同1.0%増)となり、同2ヵ月ぶりの増加となった。1~11月累計では9,594.1万トン(前年同期比0.1%減)となった。
炉別生産をみると、▽転炉鋼は648.1%(同1.4%減)で、同7ヵ月連続減となり、▽電炉鋼は222.2万トン(同8.6%増)となり、同14ヵ月連続増となった。鋼種別生産では、▽普通鋼は662.4万トン(同0.1%減)で、同2ヵ月連続減となり、▽特殊鋼は207.8万トン(同4.4%増)となり、同2ヵ月ぶりに増加となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は765.2万トン(同1.3%減)となり、同2ヵ月連続減となった。普通鋼熱間圧延鋼材の生産は592.1万トン(同3.1%減)となり、同2ヵ月連続減となった。品種別では、▽条鋼類は160.9万トン(同2.6%増)で、同3ヵ月連続増となった。▽鋼板類は426.8万トン(同5.1%減)で、同2ヵ月連続減となった。
主要品種の生産内訳をみると、▽広幅帯鋼が337.7万トン(同月比6.1%減)で、同2ヵ月連続減となった。▽厚板は83.0万トン(同0.7%減)で、同12ヵ月連続減となった。条鋼類では▽小形棒鋼が75.9万トン(同5.9%増)で、同5ヵ月連続増となった。▽H形鋼は33.1万トン(同2.7%増)で、同4ヵ月連続増となり、▽大形形鋼は7.5万トン(同6.3%増)で、同3ヵ月連続増となり、▽中小形形鋼は8.9万トン(同2.2%増)で、同4ヵ月連続増となった。なお、特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は173.0万トン(同5.5%増)となり同19ヵ月連続増となった。
10月の普通鋼鋼材用途別受注量による建築用は52万5,602トン(同3.9%増)となり、▽非住宅用は37万3,244(同10.7%増)で、▽住宅用は15万2,358トン(同9.8%減)となった。
なお、17年度上期(4~10月)累計は、建築用は367万4,550トン(前年同期比0.5%減)となり、▽非住宅用は257万1,992トン(同1.5%増)で、▽住宅用は110万2,558トン(同4.8%減)となった。
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10月溶接材料の出荷高2万0,764トン(前年同月比4.2%増)
17年4-10月の出荷高14万7,619トン(同6.8%増)
日本溶接材料工業会がまとめた2017年10月の溶接材料生産・出荷実績によると、生産高は前年同月比で5.9%増の2万1,921トンと9ヵ月連続増となった。また、出荷高でも同4.2%増の2万0,764トンと10ヵ月連続増加した。また、在庫高は6.3%減の1万8,760トンとなった。
主要品種の生産高をみると、▽ソリッドワイヤ(SW)は8,792トン(前年同月比6.6%増)の同6ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,303トン(同2.6%減)の同1ヵ月で減少となった。▽被覆アーク溶接棒は2,558トン(同11.0%増)の同1ヵ月で増加に転じた。生産高計(その他を含む)は2万1,921トン(同5.9%増)となった。
出荷高では、▽ソリッドワイヤ(SW)が8,049トン(同2.4%増)の同9ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,099トン(同0.9%増)の微増ながら同4ヵ月連続増となった。▽被覆アーク溶接棒は2,211トン(同3.8%減)の同3ヵ月連続減となった。出荷高計(同)は2万0,764トン(同4.2%増)となった。
在庫高では、▽ソリッドワイヤ(SW)は6,042トン(同24.7%減)となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,201トン(同6.8%減)となった。▽被覆アーク溶接棒は3,614トン(同14.6%増)となった。 在庫高計(同)は1万8,760トン(同6.3%減)となった。
なお、17年度(4~10月)の出荷量では前年同期比で6.8%増の14万7,619トンで、年度上期としては高水準となった。また、生産量では同7.9%増の14万8,469トンとなった。
【建築プロジェクト】
新千歳空港の国際線ターミナルビル増築
A工区は大林組JV、B工区は岩田地崎JV
昨年の外国人旅行者数は2,500万人を超えるとみられ、2020年の目標3,000万人を確実に近づいている。急増する旅客の玄関口となる羽田・成田国際空港や横浜港大さん橋など主要空港・港湾の旅客ターミナル整備計画が進められている。
北海道の表玄関「新千歳空港国際線旅客ターミナルビル」(千歳市美々地内、新千歳空港ターミナルビルディング)の増築・改修施設整備は、総事業費650億円にのぼる建設3工区の施工者が決まり、12月に着工した。
3工区の施工者JVは、▽A工区が大林組・戸田建設・萩原建設工業・伊藤組土建・田中組・菱中建設JV。▽B工区が岩田地崎建設・JALファシリティーズ・阿部建設JV。▽C工区が大成建設・宮坂建設工業・山﨑建設工業JV。各工区の受注金額は非公表となっている。
主な工事内容は、出発・到着ロビーなど施設拡張▽チェックインカウンター及び保安検査レーン増設▽テロ対策などセキュリティ強化▽免税店など商業施設拡充▽ターミナルビル付高級ホテル(富裕層対象の180室想定)新設▽出国エリア及び入国エリア施設機能強化(国の整備)を予定。延べ床面積は、旅客ターミナル部分が約12万4,000平方メートル(官庁エリア含む)、ホテル部分(4~8階)が約2万0,500平方メートルとなる。なお、既存ターミナル部分は地上4階建てで約6万1,000平方メートル(官庁エリア含む)となっている。
各工区の増築規模・構造は、A工区/増築旅客ターミナル棟は、S造・一部RC造、地下1階・地上4階建て、延べ床面積約1万6,300平方メートル。ホテル棟は、S造・一部RC造、地上8階建て、同2万0,500平方メートル。▽B工区/増築旅客ターミナル棟は、S造、地上3階建て、同7,800平方メートル。▽C工区/旅客ターミナル棟の改修工事は、S造・一部RC造、地下1階・地上4階建て、同4万1,000平方メートルとなっている。
設計・監理は、日本空港コンサルタンツ、梓設計、山下設計、えんれいしゃ が担当している。完成予定は旅客ターミナル棟19年8月より、ホテル棟は東京五輪の20年1月に供用開始する。
【雑論・正論】
鉄骨界の「鉄構技術展」は?
昨年11月24日から3日間にわたって、世界初の鉄筋総合博覧会の「鉄筋EXPO2017」が千葉・美浜区の幕張メッセ国際展示場で催し、来場者1万1,700人と盛況であった。鉄筋製品や加工機器、継手工法・検査技術など88ブースとシンポジウムや全国代表の鉄筋工による技量を競うなど鉄筋棒鋼の役割、鉄筋建築、架構工事業の啓蒙・普及につながる催しだった。地味な電炉の鉄筋製品と鉄筋架構工事の業界にスポットライトが当たった。
建築業界は、ICT(通信技術)、IoT(モノのインターネット)、BIM(3次元設計)に加え、ロボットやドローンなどの最先端技術を駆使し、品質・効率向上と安全性や人材確保に努めている。建築物は主に鉄筋コンクリート造(RC)と鉄骨造(S、SRC)である。それぞれ長所・短所があり、どちらの構造を選ぶかは建築主と設計者に委ねられる。RC造の場合は鉄筋組立の鉄筋工、コンクリート打設工による現場施工で完結するが、鉄骨造の場合は大臣認定工場ファブが工場製作した鉄骨製品を現場渡し後、架構作業はとび工、柱継ぎは現場溶接工によって行われる。
鉄骨ファブ業界は、常に単品受注のため機械加工ライン、組立て溶接ラインの生産性を高めるためCNC全自動ドリルマシンや溶接ロボットシステムなど最新装置・設備の導入を図っている。このような最新情報を一堂に集め、全国ファブとの交流の場とも言える「鉄構技術展」(主催・鋼構造出版)が過去6回に亘って催されたが、12年ぶりの2009年7月に東京ビックサイト(東京・有明)で開催後、この8年間に1度も催されないのは寂しい限りである。
ファブ関係者にとって隔年開催の「国際ウエルディングショー」(主催・日本溶接協会・産報出版)も馴染み深い。この4月25日から4日間東京ビックサイトで開催する。東京・大阪と交互開催で25回を数え、ファブ技術者・技能者らが多く参観する。ファブ業界は、溶接材料(ソリットワイヤ、複合ワイヤなど)の消費量の半分を占め、アーク溶接機やロボットの有力顧客筋。溶接以外に加工機や周辺機器や<鉄骨加工フォーラム>に期待を寄せている。
このほか隔年開催で22回目の「国際ロボット展」も11月に開催したが、ファブ向けの溶接ロボットは少なかった。会場で会ったHグレードファブの社長に聞くと「鉄骨溶接ロボットの納期は1年以上かかると言われた。人材確保にはロボットやCADなど<インスタ映え>のする明るい職場にしないと若者受けしないね」と笑えない話も耳にする。
鉄構技術展は、全国のファブが一堂に集まれる祭典であり、新鋼材情報や最新加工機、設計・施工図システムの展示・実演により生産ラインの未来図と夢を描くことできる絶好の機会であった。早期開催を望みたいものだ。
【加藤 文雄】