スノウチニュース<№238> 令和6年8月


【建築関連統計】
6月の鉄骨系需要量は31万8,700トン(前年同月比2.7%増)
24年上期(1~6月)の需要量193万0,650トン(前年同期比0.9%減)

国土交通省が7月31日発表した「建築物着工統計調査」による2024年6月着工総面積は8,811千平方メ―トル(前年同月比4.0%減)となり、前年同月比では8ヵ月連続減となった。建設資材などの高騰もあり、建築着工面積の減少傾向が止まらない。
建築主別は、▽公共建築物が351千平方メートル(同34.6%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加に転じた。▽民間建築物は8,461千平方メートル(同5.1%減)となり、同8ヵ月連続減となった。
用途別は、▽居住建築物は5,418千平方メートル(同10.1%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽非居住建築物は3,394千平方メートル(同7.8%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。
構造別では、▽鉄骨造(S造)が3,138千平方メートル(同4.9%増)となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が98千平方メートル(同56.0%減)の大幅減となり、同9ヵ月連続減となった。▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,669千平方メートル(同10.4%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽木造(W造)が3,806千平方メートル(同5.6%減)となり、同30ヵ月連続減となった。
鉄骨系の需要換算では、▽S造は31万3,800トン(同4.9%増)の微増となり、同3ヵ月ぶりの増加となった。▽SRC造は4,900トン(同56.0%減)の大幅減となり、同9ヵ月連続減となった。鉄骨系合計での前月比12.8%増加の31万8,700トン(同2.7%増)となった。
24暦年(1~6月)上期の鉄骨需要量は、▽S造が190万1,300トン(前年同期比0.7%増)、▽SRC造が29,350トン(同51.7%減)となり、鉄骨系合計では193万0,650トン(同0.9%減)となった。
24年度(4~6月)の鉄骨需要量は、▽S造が96万9,600トン(前年同期比0.8%減)、▽SRC造が19,350トン(同27.1%減)となり、鉄骨系合計では98万8,950トン(同1.5%減)となった。
*記事・表の訂正:国土交通省は7月19日、5月着工統計データの訂正があり、S造27万5,600トン(前年同月比4.1%減)は、27万5,900トン(同4.0%減)に訂正。鉄骨造合計28万2,350トン(同4.3%減)は、28万2,650トン(同4.2%減)に訂正となりました。

23年6月-24年6月 鉄骨系需要量の推移移

年/月 S造
(TON)
前年比
(%)
SRC造
(TON)
前年比
(%)
鉄骨造計
(TON)
前年比
(%)
2023年6月 299,300 -29.6 11,100 70.5 310,400 -28.0
7月 313,700 -27.9 10,900 -11.4 324,600 -27.4
8月 290,500 -17.3 8,000 26 298,500 -16.3
9月 320,100 -0.7 5,200 40.6 325,300 0.0
10月 401,550 16.3 8,050 -24.8 409,600 15.1
11月 277,400 -19.7 3,950 -50.8 281,350 -20.4
12月 320,600 0.6 4,100 -42.5 324,700 0.3
2024年1月 317,500 6.2 3,200 -84.1 320,700 0.5
2月 297,200 -13.4 2,750 -5.4 299,950 -13.3
3月 317,300 18.7 4,050 -63.9 321,350 15.4
4月 379,900 -2.9 7,700 -2.5 387,600 -2.9
5月 275,900 -4.0 6,750 -10.1 28,260 -4.2
6月 313,800 4.9 4,900 -56.0 318,700 2.7
24暦年(24年1月-6月) 1,901,300 0.7 29,350 -51.7 1,930,650 -0.9
24年度(24年4月-6月) 969,600 -0.8 19,350 -27.1 988,950 -1.5

 

(国土交通省調べ)

 

日建連の6月総受注額1兆4,197億円(前年同月比17.7%減)
民間工事は9,997億0,200万円(同18.4%減)

日本建設業連合会(日建連)が7月29日に発表した会員企業92社の2024年6月分の受注工事総額は1兆4,196億7,000万円(前年同月比17.7%減)となり、前年同月比では4ヵ月ぶりの減少。国内工事が1兆3,250億2,000万円(同18.0%減)となり、同4ヵ月ぶりの減少。うち民間工事が9,997億0,200万円(同18.4%減)となり、同2ヵ月連続減。官公庁工事が3,248億3,900万円(同15.3%減)となり、同4ヵ月ぶりの減少となった。▽海外工事が946億5,000万円(12.5%減)となり、同8ヵ月ぶりの減少となった。
民間工事の9,997億0,200万円のうち、▽製造業が2,022億2,500万円(同13.7%減)となり、同3ヵ月ぶりの減少。▽非製造業7,974億7,700万円(同19.4%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
官公庁工事の3,248億3,900万円のうち、▽国の機関が1,549億0,900万円(同40.1%減)の大幅減となり、同4ヵ月ぶりの減少。▽地方の機関が1,699億3,000万円(同36.0%増)の大幅増となり、同3ヵ月ぶりの増加。▽その他が4億7,900万円(同94.3%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少となった。
なお、2024暦年(1~6月)上期の受注総工事額が9兆8,868億3,700万円(前年度比7.4%増)となった。▽民間工事が6兆5,757億5,000万円(同3.9%増)、▽官公庁工事が2兆8,901億9,300万円(同12.3%増)、▽海外工事が4,043億3,200万円(同47.6%増)となった。
2024年度(4~6月)の受注総工事額が3兆7,779億2,600万円(前年同期比0.5%増)の微増となった。▽民間工事が2兆6,990億4,500万円(同1.6%減)、▽官公庁工事が8,893億7,800万円(同4.8%増)、▽海外工事が1,798億8,600万円(同17.8%増)となった。
一方、6月の地域ブロック別受注工事額は、▽北海道が900億3,200万円(前年同月比28.9%増)となり、前年同月比では5ヵ月ぶりの増加。▽東北が585億8,100万円(同43.8%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少。▽関東が5,658億2,500万円(同26.4%減)となり、同4ヵ月ぶりの減少。▽北陸が417億8,100万円(同29.3%減)となり、同5ヵ月ぶりの減少となった。
▽中部が1,027億8,700万円(同23.0%減)となり、同1ヵ月で減少。▽近畿が2,727億0,600万円(同10.8%減)となり、同2ヵ月連続減。▽中国が1,035億7,700万円(同61.7%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増。▽四国が188億2,700万円(同63.5%増)の大幅増となり、同2ヵ月連続増。▽九州が709億1,100万円(同29.1%減)となり、同2ヵ月連続減となった。



6月の粗鋼生産量は702.2万トン(前年同月比4.2%減)
5月の普通鋼建築用受注量40万トン(前年同月比0.4%増)

日本鉄鋼連盟は6月22日に発表した2024年6月の銑鉄生産は504.9万トン(前年同月比3.8%減)となり、前年同月比では4ヵ月連続減。粗鋼生産は702.2万トンと(同4.2%減)となり、同では4ヵ月連続減となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が512.5万トン(同3.7%減)となり、同4ヵ月連続減。▽電炉鋼が189.7万トン(同5.5%減)となり、同3ヵ月連続減となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が547.9万トン(同3.6%減)となり、同4ヵ月連続減。▽特殊鋼が154.2万トン(同6.3%減)となり、同4ヵ月連続減となった。
▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は598.7万トン(同8.1%減)となり、同4ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は473.3万トン(同8.6%減)となり、同4ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は125.4万トン(同6.2%減)となり、同4ヵ月連続減となった。
なお、5月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が40万0,610トン(前年同月比0.4%増)。うち▽非住宅が27万4,879トン(同5.6%減)となり、▽住宅が12万5,731トン(同16.8%増)となった。
23暦年(1~5月)の用途別受注量では、▽建築用が209万1,734トン(前年同期比4.8%減)。うち▽非住宅が143万5,316万トン(同5.3%減)。▽住宅が65万6,418トン(同3.6%減)となった。



5月の溶接材料出荷量1万5,780トン(前年同月比2.1%減)
24暦年(1~5月)の総出荷量8万1,806トン(前年度比1.7%減)

日本溶接材料工業会が発表した2024年5月溶接材料の総出荷量が1万5,780トン(前年同月比2.1%減)の微減となり、前年同月比では2ヵ月連続減となった。
出荷量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が6,605トン(同2.1%増)の微増となり、同1ヵ月で増加した。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が5,397トン(同3.7%減)となり、同2ヵ月連続減。▽被覆溶接棒が1,773トン(同10.0%減)となり、同10ヵ月連続減。その他を含む出荷量計では1万5,780トン(同2.1%減)となった。
24暦年(1月~5月)の出荷量は、▽SWが3万4,742トン(前年同期比3.0%増)、▽FCWが2万8,325トン(同1.2%増)、▽溶接棒が8,482トン(同21.4%減)となり、総出荷量は8万1,806トン(同1.7%減)。
24年度(4月~5月)の出荷量は、▽SWが1万3,015トン(前年同期比1.4%減)、▽FCWが1万0,861トン(同3.6%減)、▽溶接棒が3,276トン(同13.4%減)となり、総出荷量は3万1,164トン(同4.1%減)。
財務省の貿易統計による5月の▽輸出量は1,990トン(同26.5%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少。▽輸入量は5,476トン(同14.7%減)となり、同8ヵ月連続減となった。

23年5月-24年5月 溶接材料月別実績表

出荷量 単位/トン
年/年度 ソリッドワイヤ 前年比
フラックス入りワイヤ 前年比
被 覆
溶接棒
前年比
合 計 前年比
2023年度 5 6469 ▼4.8 5606 1.5 1972 4.8 16122 ▼1.0
6 7554 3.1 5873 3.2 2099 ▼11.3 17740 ▼1.4
7 7322 6.1 5403 ▼9.7 2131 7.8 17151 ▼2.0
8 7199 13.2 5331 ▼3.1 1910 ▼11.3 16726 1.4
9 7608 ▼5.0 5906 ▼0.7 2085 ▼12.1 17802 ▼6.3
10 7443 1.5 5639 ▼1.5 1723 ▼21.2 17083 ▼4.7
11 7416 ▼2.8 5782 ▼0.7 1738 ▼26.9 17071 ▼6.5
12 7395 4.6 5702 6.1 1712 ▼22.3 16722 ▼2.0
2024年 1 6643 5.7 5348 0.8 1698 ▼28.7 16020 ▼1.0
2 7228 1.0 5816 9.1 1779 ▼24.0 16746 ▼1.3
3 7856 10.8 6300 3.3 1729 ▼24.2 17876 1.7
4 6410 ▼4.7 5464 ▼3.5 1503 ▼17.0 15384 ▼6.0
5 6605 2.1 5397 ▼3.7 1773 ▼10.0 15780 ▼2.1
2024暦年(1~5月) 34742 3.0 28325 1.2 8482 ▼21.4 81806 ▼1.7
2024年度(4~5月) 13015 ▼1.4 10861 ▼3.6 3276 ▼13.4 31164 ▼4.1

注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。

日本溶接材料工業会

 

【建築プロジェクト】
札幌ダイビル再開発PJは大林組で着工
SRC造・S造、地下2階・19階建、延床4.2万平米

ダイビルが建設する「札幌ダイビル再開発プロジェクト」(札幌市中央区南2条西4-11-4)は、2023年5月末に閉館したダイビル PIVOTほかの跡地に新たに商業・オフィス・ホテルの大型複合ビルを建設するプロジェクト。札幌のメインストリートでもある駅前通りに面し、かつ地下街に直結する市内有数の好立地を生かした新たなランドマークビルをめざしている。
建築規模は、SRC造・S造、地下2階・地上19階・塔屋1層建て(高さ約94メートル)、延べ床面積約4万2,279平方メートル。 設計は日建設計、施工は大林組で先月着工し、 27年1月末に竣工予定。
ビルの構成は、▽商業店舗が地下1階から地下中1階~2階まで、▽オフィスは3階~8階、▽ホテルは10階~18階の計画となっている。このホテルは、テイクアンドギヴ・ニーズ(東京都)が運営する「トランクホテル」で、主に外国人観光客をターゲットとした高級ホテル。27年春の開業を予定している。
ダイビルHPによると、開発コンセプトは<つながりを創出し、伝播させていく>をベースに、「商業・オフィス・ホテルの多様な人々の営みの連携により<コト>を、そこに暮らす人々と道外からの人々の相互作用により <ヒト>を、札幌の歴史、文化とこれからの発展により<トキ>をつなぎ、そこで生まれるシナジーを波及させることで、札幌の街にあたらしい風を吹き込むランドマークビルをつくる」としている。


【時論・公論】
高須賀イズム継承の40周年

先月5日、浦安のホテルで「スノウチ創立40周年記念パーティー」が開催され、出席してきました。同社は1984年に「エンドタブ」などの溶接副資材製作会社として設立。前身は1914年に大阪市内で起業した鋼材販売会社。<ものづくりは誠実であれ>をモットーに鋼製やセラミックス製の溶接副資材総合メーカーとして歩んできている。
参加者は来賓者、歴代社長に退職者、社員ら八十数名で報道人を招かない内輪の行事であった。会場全面右側に初代社長の高須賀洋三ご夫妻の遺影が設えられていた。同氏は21年2月に、ご夫人は今年3月逝去された。開会に際し、黙祷が行われ、参加者は深い哀悼の意と共にあり日の同氏との想い出が蘇ったものと思われる。
西嶋俊彦社長の挨拶と現況報告・事業方針に続き、来賓の建材商社役員、金融機関支店長の祝辞、日本エンドタブ協会の松﨑博彦理事長による乾杯で、各テーブルの歓談から相互交歓となり、賑やかな雰囲気となった。
私のテーブル席はご夫妻遺影の前であり、ゴルフコースをバックに微笑む高須賀氏を観ていると数々の追憶と虚心坦懐な人柄が蘇ってきた。私が出会ったのは、大阪勤務時代の85年の今頃だった。近畿6府県鉄構組合に挨拶周りの際に会い意気投合。爾来、三十数年公私に亘ってお世話になった。今も拙文を書かせて頂いている。
高須賀氏との想い出が尽きなく、ここでは記述できませんが、氏の人柄を表している経営理念である<ものづくりは誠実であれ>であり、さらには<人とは誠実であれ>を実践した人である。国籍を取得した外国人や障がいを持つ人、他社を定年退職した人も、雇用してきた企業である。そこには、<共に助け合う>との互恵主義である。
千葉県社会就労センター「明朗塾」が07年2月開催の「第13回研究研修会」で講演した高須賀氏は<(前文略)会社は営利事業であり慈善事業ではない、だから利益を出せなければ倒産するしかない。このような厳しさがあるが、それでも人件費コストを安くするために障がい者を雇用するという発想ではない。世の中、他人に助けられないで生きることはできない。社会に出たから自立、就職したから自立という考え方はあたらない。共に助け合うことは尊いことである(後文略)>(社会就労センター講演録より抜粋)と述べ、理念でもある互恵イズムを語っている。
スノウチを大きな企業に出来なかったが、<高須賀イズム>を継承しつつ溶接副資材を供給する役割は大きい。また、<10年毎に変革しないと企業は衰退する>とも語っていた。昨年4月就任の西嶋社長も、そのイズムを引き継ぎ中堅社員による「10年後を考える会」を発足させている。<新生スノウチ>の大いなる躍進に期待したい。

【加藤 文雄】