スノウチニュース<№227> 令和5年9月
【鉄骨需要月別統計】
7月鉄骨需要量は32万4,600トン(前年同月比27.4%減)
23暦年(4月~7月)需要量132万9,050トン(前年同期19.6%減)
国土交通省が8月31日発表した「建築物着工統計調査」の2023年7月着工総面積は9,261千平方メ―トル(前年同月比17.7%減)となり、前年同月比では6ヵ月連続減となった。3ヵ月連続で10,000千平方メートル割れとなった。7月も9,000平方メートル台の低水準となった。
建築主別は、▽公共建築物が463千平方メートル(同5.8%増)となり、同1ヵ月で増加となった。▽民間建築物は8,797千平方メートル(同18.7%減)となり、同6ヵ月連続減となった。
用途別は、▽居住建築物は5,649千平方メートル(同9.9%減)となり、同11ヵ月連続減となった。▽非居住建築物は3,612千平方メートル(同27.5%減)の大幅減となり、同6ヵ月連続減となった。
構造別は、鉄骨建築の▽鉄骨造(S造)が3,137千平方メートル(同27.9%減)となり、同5ヵ月連続減となった。▽鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が218千平方メートル(同11.4%減)となり、同1ヵ月で減少となった。
一方、▽鉄筋コンクリート造(RC造)が1,793千平方メートル(同17.7%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽木造(W造)が4,021千平方メートル(同8.3%減)となり、同19ヵ月連続減となった。
鉄骨需要換算では、▽S造は31万3,700トン(前年同月比27.9%減)となり、同5ヵ月連続減となった。▽SRC造は10,900トン(同11.4%減)となり、同1ヵ月で減少となった。鉄骨造の合計では前月比4.6%増の32万4,600トン(前年同月比27.4%減)となった。
23年度(4~7月)の需要量は、▽S造が129万1,600トン(前年同期比19.5%減)、▽SRC造が3万7,450トン(同23.1%減)となり、鉄骨造の合計では132万9,050トン(同19.6%減)となった
23暦年(1~7月)の需要量は、▽S造が220万1,000トン(前年同期比16.5%減)、▽SRC造が7万1,700トン(同0.9%減)となり、鉄骨造の合計では227万2,700トン(同16.0%減)となった
22年7月-23年7月 鉄骨需要量の推移
年/月 | S造(TON) | 前年比 (%) |
SRC造 (TON) |
前年比 (%) |
鉄骨造計 (TON) |
前年比 (%) |
2022年7月 | 434,900 | 17.5 | 12,300 | 126.0 | 447,200 | 2.4 |
8月 | 350,100 | 8.6 | 6,350 | 73 | 356,450 | 19.1 |
9月 | 321,600 | -6.1 | 3,700 | -58.7 | 325,300 | -7.5 |
10月 | 345,200 | -35.0 | 10,700 | -2.5 | 355,900 | -34.3 |
11月 | 345,600 | -0.2 | 8,000 | 13.4 | 353,600 | 0.1 |
12月 | 318,600 | -25.5 | 7,150 | -60.6 | 325,750 | -26.9 |
2023年1月 | 299,000 | -14.0 | 20,150 | 178.8 | 319,150 | -10.0 |
2月 | 343,200 | 3.5 | 2,900 | -74.7 | 346,100 | 0.9 |
3月 | 267,200 | -23.9 | 11,250 | 123.3 | 278,450 | -21.9 |
4月 | 391,200 | -3.0 | 7,900 | -46.6 | 399,100 | -4.5 |
5月 | 287,400 | -15.9 | 7,500 | -50.1 | 294,900 | -17.3 |
6月 | 299,300 | -29.6 | 11,100 | 70.5 | 310,400 | -28.0 |
7月 | 313,700 | -27.9 | 10,900 | -11.4 | 324,600 | -27.4 |
暦年計(23年1~7月) | 2,201,000 | -16.5 | 71,700 | -0.9 | 2,272,700 | -16.0 |
年度計(23年4~7月) | 1,291,600 | -19.5 | 37,450 | -23.1 | 1,329,050 | -19.6 |
(国土交通省調べ)
【建築関連統計】
日建連7月総受注額9,948億円(前年同月比5.0%増)
民間工事5,944億6,000万円(同10.9%減)
日本建設業連合会(日建連)が発表した会員企業93社の2023年7月分の受注工事総額は9,948億6,500万円(前年同月比5.0%増)となり、1ヵ月で1兆円われとなり、前年同月比で4ヵ月連続増となった。民間工事が5,944億6,000万円(同10.9%減)。官公庁工事が3,637億8,100万円(同56.6%増)となった。
国内工事が9,650億7,500万円(同7.1%増)となり、前年同月比で4ヵ月連続増となった。民間工事の5,944億6,000万円のうち、▽製造業が1,073億1,500万円(同42.8%減)の大幅減となり、同6ヵ月連続減となった。▽非製造業4,871億4,500万円(同1.5%増)の微増となり、同4ヵ月連続増となった。
官公庁工事の3,637億8,100万円のうち、▽国の機関が2,550億7,100万円(同134.3%増)の大幅増となり、同3ヵ月連続増となった。▽地方の機関が1,087億1,000万円(同12.0%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽その他が68億3,400万円(同282.6%増)の超大幅増となり、同2ヵ月連続増となった。▽海外工事が297億9,000万円(同35.1%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続減となった。
6月の地域ブロック別受注工事額は、▽北海道が494億2,600万円(前年同月比36.0%増)となり、前年同月比では2ヵ月連続増となった。▽東北が478億8,300万円(同31.5%減)の大幅減となり、同3ヵ月連続減となった。▽関東が3,737億0,600万円(同6.6%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽北陸が145億1,000万円(同59.6%減)の大幅減となり、同6ヵ月連続減となった。
▽中部が1,045億2,900万円(同11.7%減)となり、同2ヵ月連続減となった。▽近畿が1,544億6,000万円(同9.5%減)となり、同8ヵ月ぶりの減少となった。▽中国が223億3,800万円(同49.5%減)の大幅減となり、同1ヵ月で減少となった。▽四国が169億2,100万円(同22.2%減)となり、同3ヵ月連続減となった。▽九州が1,812億8,900万円(同237.8%増)の超大幅増となり、同3ヵ月連続増となった。
*
7月の粗鋼生産738.9万トン(前年同月比0.9%増)
6月普通鋼建築用受注量44.1万トン(前年同月比13.2%減)
普通鋼建築用23年上期受注量263.8万トン(前年同期比13.7%減)
日本鉄鋼連盟は8月22日に発表した2023年7月の銑鉄生産は548.4万トン(前年同月比4.1%増)となり、前年同月比で2ヵ月連続増。粗鋼生産は738.9万トン(同0.9%増)となり、同19ヵ月ぶりの増加となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が561.4万トン(同4.9%増)となり、同2ヵ月連続増。▽電炉鋼が177.6万トン(同9.9%減)となり、同12ヵ月連続減となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が564.5万トン(同横ばい)。▽特殊鋼が174.4万トン(同4.0%増)となり、同18ヵ月ぶりの増加となった。
▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は658.2万トン(同4.4%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は520.2万トン(同5.6%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は138.0万トン(同0.2%増)となり、同18ヵ月ぶりの増加となった。
一方、6月の普通鋼鋼材用途別受注量は、▽建築用が44万0,719トン(前年同月比13.2%減)。うち▽非住宅が31万2,672トン(同18.7%減)、▽住宅が12万8,047トン(同3.8%増)となった。
22年度(4~6月)の用途別受注量では、▽建築用が 128万6,713トン(前同期比15.4%減)。うち▽非住宅が92万7,362トン(同18.6%減)となり、▽住宅が35万8,778トン(同5.7%減)となった。
22暦年(1~6月)上期の用途別受注量では、▽建築用が263万7,837トン(前年同期比13.7%減)。うち▽非住宅が182万9,090トン(同19.9%減)となり、▽住宅が80万8,247トン(同4.6%増)となった。
*
6月溶接材料の出荷量1万7,740トン(前年同月比1.4%減)
23年(1月~6月)上期の出荷量10万0,953トン(前年同期比3.1%減)
日本溶接材料工業会が発表した2023年6月の溶接材料実績(生産・出荷・在庫)は、▽生産量が1万8,029トン(前年同月比0.6%減)となり、前年同月比では8ヵ月連続減。▽出荷量が1万7,740トン(同1.4%減)となり、同9ヵ月連続減。▽在庫量が1万7,638トン(同0.0%)となり、前年同月とほぼ同量になった。
生産量の主な品種は▽ソリッドワイヤ(SW)が7,427トン(同0.1%減)の微減となり、同8ヵ月連続減。▽フラックス入りワイヤ(FCW)が6,002トン(同3.3%)となり、同5ヵ月連続減となった。▽被覆アーク溶接棒が2,297トン(同21.3%増)となり、同3ヵ月連続増となった。その他を含む生産量計では1万8,029トン(同0.6%減)となった。
出荷量の主な品種は▽SWが7,554トン(同3.1%増)となり、同4ヵ月ぶりの増加。▽FCWが5,873トン(同3.2%増)となり、同3ヵ月連続増。▽溶接棒が2,099トン(同11.3%減)となり、同1ヵ月で減少に転じた。その他を含む出荷量計では1万7,740トン(同1.4%減)となった。
在庫量の主な品種は▽SWが6,415トン(同1.0%増)となり、同17ヵ月連続増。▽FCWが6,331トン(同0.1%増)の微増となり、同11ヵ月連続増。▽溶接棒が2,943トン(同0.5%増)の微増となり、同10ヵ月ぶりの増加。その他を含む在庫量計では1万7,638トン(同0.0%)となった。
23年度(4月~6月)の総生産量は5万0,019トン(前年同期比2.5%減)となり、総出荷量では5万0,229トン(同1.7%減)。一方、23年(1月~6月)上期の総生産量は10万0,789トン(同5.2%減)となり、総出荷量では10万0,953トン(同3.1%減)。
なお、財務省の貿易統計による6月の輸出量は2,831トン(前年同月比17.1%減)となり、輸入量は4,855トン(同20.2%減)となった。
23年度(4月~6月)の輸出量は8,088トン(前年同期比6.4%減)、輸入量は1万5,211トン(同17.9%減)となった。一方、23年(1月~6月)上期の輸出量は1万6,509トン(同2.9%減)、輸入量は3万2,631トン(同8.1%減)となった。
22年6月-23年6月 溶接材料月別実績表
生産量 | 単位/トン | ||||||||
年/年度 | 月 | ソリッドワイヤ | 前年比 % |
フラックス入りワイヤ | 前年比 % |
被 覆 溶接棒 |
前年比 % |
合 計 | 前年比 % |
2022年度 | 6 | 7,432 | ▼6.5 | 6,208 | ▼4.3 | 1,894 | ▼22.1 | 18,139 | ▼5.9 |
7 | 7,347 | ▼4.4 | 5,451 | ▼7.0 | 1,994 | ▼10.1 | 17,444 | ▼3.0 | |
8 | 5,788 | ▼9.2 | 5,357 | 16.8 | 1,938 | ▼19.5 | 15,415 | 0.3 | |
9 | 7,657 | 1.9 | 5,777 | ▼5.8 | 2,155 | ▼10.4 | 18,202 | 0.3 | |
10 | 8,130 | 3.9 | 6,078 | ▼5.5 | 2,154 | ▼12.8 | 19,084 | 1.5 | |
11 | 7,734 | ▼2.4 | 6,364 | ▼0.4 | 2,268 | ▼6.2 | 18,896 | ▼1.3 | |
12 | 6,867 | ▼8.3 | 5,419 | ▼9.9 | 2,575 | 7.4 | 17,274 | ▼5.3 | |
2023暦年 | 1 | 6,420 | ▼9.0 | 5,186 | 6.5 | 2,095 | ▼2.1 | 15,800 | ▼4.6 |
2 | 7,090 | ▼6.6 | 5,241 | ▼12.8 | 2,533 | 13.2 | 17,007 | ▼7.5 | |
3 | 7,186 | ▼14.2 | 6,274 | ▼12.3 | 2,334 | ▼0.2 | 17,963 | ▼10.4 | |
2023年度 | 4 | 6,594 | ▼6.0 | 5,777 | ▼2.3 | 1,936 | 5.3 | 16,513 | ▼2.8 |
5 | 6,412 | ▼8.6 | 5,240 | 0 | 1,888 | 14.5 | 15,477 | ▼4.3 | |
6 | 7,427 | ▼0.1 | 6,002 | ▼3.3 | 2,297 | 21.3 | 18,029 | ▼0.6 | |
2023年度(4~6月) | 計 | 20,433 | ▼4.8 | 17,019 | ▼2.0 | 6,121 | 13.8 | 50,019 | ▼2.5 |
2023暦年(1~6月) | 計 | 41,129 | ▼7.6 | 33,720 | ▼4.8 | 13,083 | 8.2 | 100,789 | ▼5.2 |
注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。
出荷量 | 単位/トン | ||||||||
年/年度 | 月 | ソリッドワイヤ | 前年比 % |
フラックス入りワイヤ | 前年比 % |
被 覆 溶接棒 |
前年比 % |
合 計 | 前年比 % |
2022年度 | 6 | 7,330 | ▼8.2 | 5,693 | ▼10.2 | 2,366 | 6.8 | 18,000 | ▼5.2 |
7 | 6,903 | ▼6.1 | 5,984 | 7.7 | 1,977 | ▼5.9 | 17,498 | 1.9 | |
8 | 6,360 | ▼6.9 | 5,503 | ▼0.6 | 2,154 | ▼8.1 | 16,497 | ▼2.2 | |
9 | 8,005 | ▼2.7 | 5,948 | ▼1.9 | 2,372 | 10.1 | 18,991 | 0.9 | |
10 | 7,335 | ▼0.6 | 5,722 | ▼9.5 | 2,186 | 7.9 | 17,923 | ▼1.0 | |
11 | 7,630 | 2.3 | 5,821 | ▼1.9 | 2,378 | 3.6 | 18,250 | ▼0.2 | |
12 | 7,073 | ▼8.5 | 5,376 | ▼13.5 | 2,202 | ▼6.2 | 17,056 | ▼8.3 | |
2023暦年 | 1 | 6,282 | ▼13.6 | 5,306 | ▼4.2 | 2,382 | 15.1 | 16,180 | ▼6.9 |
2 | 7,156 | 1.7 | 5,330 | ▼10.4 | 2,340 | 10.3 | 16,961 | ▼3.3 | |
3 | 7,091 | ▼10.4 | 6,096 | ▼0.9 | 2,281 | 23.6 | 17,583 | ▼3.7 | |
2023年度 | 4 | 6,728 | ▼6.4 | 5,660 | 0.5 | 1,810 | ▼3.9 | 16,367 | ▼2.6 |
5 | 6,469 | ▼4.8 | 5,606 | 1.5 | 1,972 | 4.8 | 16,122 | ▼1.0 | |
6 | 7,554 | 3.1 | 5,873 | 3.2 | 2,099 | ▼11.3 | 17,740 | ▼1.4 | |
2023年度(4~6月) | 計 | 20,751 | ▼2.6 | 17,139 | 1.7 | 5,881 | ▼4.1 | 50,229 | ▼1.7 |
2023暦年(1~6月) | 計 | 41,280 | ▼5.2 | 33,871 | ▼1.8 | 12,884 | 5.9 | 100,953 | ▼3.1 |
注:合計はその他の溶接材料を含めたもの。
日本溶接材料工業会
【建築プロジェクト】
日本一の高さになる「Torch Tower」は清水建設
S造・SRC造、63階建て、延べ床約54.4万平米
三菱地所が東京駅北側で開発している「常盤橋街区再開発プロジェクト」の建設工事は、D棟「銭瓶ビル」(2017年4月着工~22年3月完成)、A棟「常盤橋タワー」・C棟(1期)「変電所棟」(18年1月着工~21年6月完成)。最後のB棟「Torch Tower(トーチタワー)」が10月着工―27年度完成予定。高さ390メートルとなり、今年6月に完成した「麻布台ヒルズ森JPタワー」(施工、清水建設)の325.4メートルを超え、日本一高いビルとなる。
同プロジェクトは、国家戦略特別区域の認定事業として開発が進んでいる計画地。対象地域は、東京駅の北側で日本橋川に面した一帯。近隣は大手町や日本橋、丸の内などのオフィス街の一等地で、数多くの著名企業が本社を構えるエリアとなる東京都千代田区大手町2-8-11ほか、中央区八重洲1-2-1ほか。
開発する総敷地面積約3万1,400平方メートル。建築面積約1万3,200平方メートルに、4棟の総延べ床面積約74万平方メートル。地権者は三菱地所、東京下水道局、大和証券、三越伊勢丹、東京電力など。
「トーチタワー」の建設規模は、S造(CFT柱)・SRC造、地下4階・地上63階建て、延べ床面積約54万4,000平方メートルで、設計は三菱地所設計、施工は清水建設が担当する。「トーチタワー」という名前のとおり、松明(たいまつ)をイメージしたデザイン。頭頂部の曲線や展望台として開かれた空間がうまく炎を表現している。
用途は7階~53階の事務所に加え、3~6階に約2,000席の大規模ホール、地下1階~地上6階に約1万4,850平方メートルの商業ゾーンとなる。また、1階~8階に続く延長約2キロメートルの空中散歩道、屋上庭園なども整備する。57階~61階には約110室の国際級ホテル(ドーチェスター・コレクション)を誘致し、62階~屋上階は奥外空間併設の展望ホールとする。眼下に東京駅とその周辺の超高層ビル群を望み、皇居の森や富士山、東京湾を一望とする一大パノラマ眺望となる。
【時論・公論】
生成AIと、どう向き合うべきか?
世の中はICT(情報通信技術)の開発で便利になった。1980年代にファクシミリ(ファクス)に次いでワードプロセッサー(ワープロ)が普及。90年代にパーソナルコンピューター(パソコン)が普及すると、ファクスもワープロも消え、パソコン全盛となる。2000年に入ると携帯電話からスマートフォン(スマホ)となり、インターネット機能を含め今ではスマホ無しでは過ごせない生活になっている。この40年程でICTによって情報伝達は驚異的に変革した。
昨年11月米国のオープンAI社が開発した生成AIの「チャットGPT」は、その利便性から驚異的な速さで普及し、マイクロソフトやグーグル(米)、スタビリティAI社(英)も追従している。国内ではNECが開発し、ソウトバンクやLINE、サイバーエージェントが開発中。生成AIに規制の無い活用には適否が分かれ、その対応策が問われている。
「チャットGPT」の評価はテレビ・新聞などマスコミやインターネットでメリット、デメリットも取り上げて挙げており、ここは詳しい説明は省くことにする。ICTによる膨大なデータ情報が生んだ利用価値の高い<補完ツール>と言える。欧州など一部の国で使用を禁じているが、こうした便利ツールが手軽に使えると、一度使うと手放せられない。
生成AIが活用されると、影響を受けるのはジャナリストや小説家、随筆家、評論家などは少なからず脅威となる。更に裁判官や官僚・公務員、学生らには重宝ツールになる。判例(先例)に拘束される<判決文書>には参考文書として活用不可欠になる。また、深夜まで<国会答弁書>を作成する官僚や役人にとっては瞬く間に答弁文ができれば残業は激減する。大学生が苦手とするレポートや卒業論文が苦も無く仕上がれば楽々ツールとなる。
河野デジタル相は早々にAIの活用を奨励しているが、公務員の業務負担を減少できるものの、役人特有の定型文でなくAIの平易文を認めるか否かである。大学もAI禁止と部分的に認めるところとある。文章や論文などコピペ(コピー&ペースト)など文献引用を明記しているが、AI活用の場合も利用範囲を明記するようにすべきである。
AIの弱点は、膨大なデータを基に文字列のパターンを認識し、自動的に組み込まれた文章で回答する機能があるものの、直近の出来事や個人情報となると基礎データが無く偽り文章になる。利点は、学習・指示の機能により新たなデータ・情報を入力されると直ちに蓄積され、文章・画像の他、どんな分野にも活用できる優れたツール。
AIを制約なく使えば思考力や想像力が劣化する。また、フェイクニュースやハッキングなどの犯罪が多発する社会となる。AIを上手に活用するには<真贋判定システム>開発と、マイナス面が理解できることが不可欠となる。
【加藤 文雄】