スノウチニュース<№175> 令和元年5月
【鉄骨需要月別統計】
3月鉄骨需要量34万3,100トン(前年同月比14.7%減)
18年度は507万7,750トン(前年同期2.5%減)
国土交通省が4月26日発表した「建築物着工統計調査」の2019年3月着工総面積は9,966千平方メ―トル(前年同月比0.2%減)の前年同月比で2ヵ月連続減となる。3ヵ月続けて9,000千平方メートル台となった。
▽建築主別は、公共建築物が457千平方メートル(同20.8%減)となり、同3ヵ月連続減となる。民間建築物は9,509千平方メートル(同1.0%増)の微増ながらも同1ヵ月で増加に転じ、3ヵ月連続で9,000万平方メートル台となる。
▽用途別は、居住建築物は6,633千平方メートル(同13.2%増)となり、同4ヵ月連続増となった。非居住建築物は3,334千平方メートル(同19.3%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
▽構造別は、鉄骨建築のS造は3,385千平方メートル(同13.6%減)となり、同1ヵ月で大幅減となった。SRC造は92千平方メートル(同56.5%減)となり、同3ヵ月で大幅増が続いた。RC造は2,097千平方メートル(同21.5%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加に転じた。W造は4,328千平方メートル(同6.2%増)の同2ヵ月連続増となった。
▽鉄骨需要換算では、S造は33万8,500トンとなり、4ヵ月連続で40万トンを割った。SRC造は4,600トンとなった。鉄骨造計では前年同月比14.7%減の34万3,100トンとなり、前月比では10.4%減となり、12年3月の32万6,300トン、同年4月35万6,800万トン以来の低水準となった。
なお、18年度(4-3月)のS造は500万4,700トン(前年同期比1.3%減)、SRC造は7万3,250トン(同47.5%減)となり、鉄骨合計では507万7,750トン(同2.5%減)となった。
18年3月-19年3月 鉄骨需要量の推移
月 | S 造 | 前年比 | SRC造 | 前年比 | 鉄骨造合計 |
3 | 391,600 | 15.5 | 10,600 | 94.6 | 402,200 |
4 | 432,300 | -0.7 | 6,650 | -31.6 | 438,950 |
5 | 427,500 | -1.9 | 8,200 | -6.8 | 435,700 |
6 | 471,200 | -1.7 | 1,800 | -80.9 | 473,000 |
7 | 472,400 | 8.8 | 13,000 | 20.3 | 485,400 |
8 | 438,500 | -4.6 | 1,500 | -84.5 | 440,000 |
9 | 425,300 | -3.6 | 5,900 | -33.2 | 431,200 |
10 | 440,200 | 7.3 | 9,950 | -19.1 | 450,150 |
11 | 412,200 | -8.9 | 4,100 | -68.1 | 416,300 |
12 | 392,600 | 7.5 | 7,650 | 20.9 | 400,250 |
19/1 | 377,900 | -4.6 | 3,200 | -45.4 | 381,100 |
2 | 376,200 | 1.8 | 6,650 | -80.5 | 382,850 |
3 | 338,500 | -18.6 | 4,600 | -56.5 | 343,100 |
(国土交通省調べ)
【建築関連統計】
日建連3月受注額約4兆1,052億円(前年同月比68.9%増)
民間受注量3兆9,591億円(同91.6%増)
18年度総受注額16兆6,546億円(前年度比7.4%増)
日本建設業連合会(日建連)が4月26日に発表した会員企業97社の2019年3月受注工事総額は4兆1,052億0,600万円(前年同月比68.9%増)の大幅増となり、前年同月比では1ヵ月で増加に転じた。うち民間工事は3兆1,281億2,100万円(同91.6%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加となった。官公庁工事は8,305億円(同19.7%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。
国内工事は3兆9,591億3,900万円(同70.1%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加に転じた。民間工事の3兆1,281億2,100万円のうち、▽製造業が3,307億3,500万円(同20.9%増)となり、同1ヵ月で増加し、▽非製造業は2兆7,973億8,600万円(同105.8%増)の大幅増となり、同4ヵ月連続増となった。
官公庁工事の8,305億円のうち、▽国の機関が5,997億6,300万円(同26.9%増)となり、同1ヵ月で増加となり、▽地方の機関は2,307億3,700万円(同4.4%増)の微増ながらも同3ヵ月連続増となった。▽その他が5億1,800万円(同65.6%減)となり、同3ヵ月連続減となった。▽海外工事は1,460億6,700万円(同43.3%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加に転じた。
18年度の受注工事総額は16兆6,545億9,600万円(前年同期比7.4%増)となった。▽国内工事は15兆9,913億1,700万円(同7.1%増)となり、▽民間工事は12兆1,525億0,500万円(同12.7%増)、▽官公庁工事は3兆8,049億8,200万円(同7.7%減)となった。▽海外工事は6,632億7,900万円(同14.3%増)となった。
一方、19年3月分の地域ブロック別受注工事額は、▽北海道1,620億1,600万円(前年同月比121.8%増)の大幅増となり、前年同期比で4ヵ月連続増となる。▽東北2,434億6,700万円(同0.7%増)の微増となり、同1ヵ月で増加となる。▽関東2兆2,689億1,800万円(同135.8%増)の大幅増となり、同3ヵ月連続増となる。▽北陸983億3,400万円(同7.5%減)となり、同2ヵ月連続減となった。
▽中部2,564億5,700万円(同14.1%増)となり、同4ヵ月連続増となる。▽近畿5,493億0,900万円(同31.3%増)の大幅増となり、同1ヵ月で増加に転じた。▽中国1,112億0,300万円(同63.9%増)の大幅増となり、同6ヵ月連続増となる。▽四国284億1,300万円(同4.2%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。▽九州2,410億2,400万円(同16.7%増)となり、同1ヵ月で増加に転じた。
*
2018年度の粗鋼生産2年連続で減少
生産量1億0,289万トン(前年度比1.9%減)
日本鉄鋼連盟が4月22日に発表した2019年度の鉄鋼生産量は、▽銑鉄生産は7,592.0万トン(前年度比3.1%減)の前年度比で4年連続減となった。一方、▽粗鋼生産は1億0,288.9万トン(同1.9%減)となり、同2年連続減となった。
▽炉別生産では、転炉鋼が7,685.4万トン(同3.0%減)の同2年連続減、▽電炉鋼は2,603.5万トン(同1.8%増)となり、同3年連続増となった。粗鋼合計に占める電炉鋼比率は25.3%と前年度比で0.9ポイント上昇した。
鋼種別では、▽普通鋼が7,756.9万トン(同2.4%減)の同5年連続減、▽特殊鋼は2,532.0万トン(同0.2%減)となり、同3年ぶりの減少となった。▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は9,138.6万トン(同1.3%減)となり、同2年連続減となった。鋼種別にみると、▽普通鋼が7,078.4万トン(同1.7%減)の2年連続減、▽特殊鋼は2,060.2万トン(同微増)となり、同3年連続増となった。
*
19年3月の粗鋼生産は908.4万トン(前年同月比微減)
普通鋼鋼材18年2月建築用47.9万トン(前年同月比2.3%減)
日本鉄鋼連盟が4月22日に発表した2019年3月の鉄鋼生産は、銑鉄、粗鋼とも前年同月比で減少した。▽銑鉄生産は667.5万トン(前年同月比0.5%減)となり、前年同月比で7ヵ月連続減となった。▽粗鋼生産は908.4万トン(同微減)となり、同7ヵ月連続減となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が678.2万トン(同微増)となり、微増ながらも同7ヵ月ぶりの増加、▽電炉鋼が230.2万トン(同0.1%減)となり、同2ヵ月ぶりの減少となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が685.0万トン(同0.2%増)となり、同7ヵ月ぶりの増加、▽特殊鋼が223.5万トン(同0.6%減)となり、同4ヵ月連続減少となった。
▽熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は791.0万トン(同3.2%減)となり、同9ヵ月連続減となった。▽普通鋼熱間圧延鋼材の生産は612.7万トン(同3.1%減)となり、同4ヵ月連続減となった。▽特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は178.3万トン(同3.3%減)となり、同3ヵ月連続減となった。
2月の普通鋼鋼材用途別受注量による▽建築用が47万9,436トン(前年同月比2.3%減)となった。うち▽非住宅用が31万3,489トン(同8.7%減)、▽住宅用が16万5,947トン(同12.4%増)となった。
2018年度(4-2月)では、▽建築用が591万3,471トン(前年同期比0.4%増)となり、▽非住宅用が415万8,187トン(同0.7%増)、▽住宅用が175万5,284トン(同0.2%減)となった。
*
19年2月溶接材料の出荷量2万0,698トン(前年同月比0.5%増)
18年度(4~2月)の出荷量22万8,269トン(前年比0.6%減)
日本溶接材料工業会が発表した2019年2月の溶接材料生産・出荷・在庫実績によると、生産量は2万1,408トン(前年同月比6.9%増)の5ヵ月連続増となった。出荷量は2万0,698トン(同0.5%減)となり、微増ながら同5ヵ月連続増となった。在庫量は1万7,342トン(同1.6%増)となり、同6ヵ月ぶりの増加となった。
なお、18年度(4-2月)では、生産量が22万7,988トン(前年同期比0.4%減)、出荷量が22万8,269トン(同0.6%減)となった。
19年2月の生産量は、▽ソリッドワイヤ(SW)は8,544トン(前年同月比10.4%増)の同5ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,377トン(同4.5%増)となり、同2ヵ月連続増となった。▽被覆アーク溶接棒は2,445トン(同1.4%増)となり、同3ヵ月連続増となった。その他を含む生産量計は2万1,408トン(同6.9%増)となり、同5ヵ月連続増となった。
出荷量は、▽ソリッドワイヤ(SW)が8,487トン(同5.7%増)となり、同5ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,136トン(同0.3%減)となり、同1ヵ月で減少となった。▽被覆アーク溶接棒は2,222トン(同12.2%減)となり、同6ヵ月で大幅減となった。その他を含む出荷量計は2万0,698トン(同0.5%増)の微増ながら同5ヵ月連続増となった。
在庫量は、▽ソリッドワイヤ(SW)が4,136トン(同3.6%減)となり、同25ヵ月連続減となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,995トン(同3.9%増)となり、同1ヵ月で増加となった。▽被覆アーク溶接棒は3,093トン(同4.1%減)となり、同5ヵ月連続減となった。その他を含む出荷量計は1万7,342トン(同1.6%増)の同6ヵ月目で増加に転じた。
【建築プロジェクト】
虎ノ門1・2丁目地区再開発(東京・港区)
施工は鹿島、11月下旬に初弾着工
虎ノ門1・2丁目地区再開発事業(計画地は港区虎ノ門1、2丁目地内、地区面積約2.2ヘクタール)で建設される超高層複合ビルを含む再開発ビル群の施工者が鹿島に決まった。虎ノ門1・2丁目地区市街地再開発組合に参加組合員に参画している森ビルが特定建築者となり、総延べ床面積約26万平方メートルの超高層複合ビルなどを整備する。森ビルは実施設計も担当する。既存施設解体も鹿島の施工で、32棟解体工事が進み、11月下旬に初弾の本体工事に着手し、2023年11月末の完工を目指す。
再開発は区域をA-1~3の3つの街区に分け、再開発ビル群を整備する。▽A-1街区(敷地面積9,908平方メートル)は、S造・一部SRC造・RC造、地下4階・地上49階・塔屋1階建て、延べ床面積約23万8,643平方メートル、高さ264メートルの規模となる。事務所、店舗、ホテル、集会場などが入る超高層複合ビルとなる。
▽A-2街区(同2,445平方メートル)には、S造・一部RC造、地下3階・地上4階建て、同8,751平方メートルの店舗などを配置する商業ビルを整備する。▽A-3街区(同1,611平方メートル)は、S造・一部RC造、地下1階・地上12階建て、同7,986平方メートルの事務所、共同住宅(12戸)、店舗などの複合ビルとなる。
工期は、▽A-1街区が19年11月~23年7月、▽A-2街区が20年9月~23年11月、▽A-3街区が21年5月~23年7月を予定する。
2020年東京五輪・パラリンピック開催前に供用開始予定の東京メトロ・日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ駅」の建設に合わせ、広場なども整備し、交通結節機能の強化を図る。同再開発事業は、国土交通省から都市再生特別措置法に基づく民間都市再生事業計画に認定された。
【雑論・正論】
統計でみる建設業の実態
国土交通省が3月末に発表した2017年度の全国建設業許可業者数は46万4,889業者(前年度比0.1%減)である。1999年度の60万0,990業者と比較すれば22.6%減となり、13万6,091業者もの減少となる。
建設投資減少が続いた08年度~15年度の6年間での新規許可数は約1.5万~1.9万業者で推移し、16年度は2万業者超え、さらに17年度は約2.1万業者と増加した。一方、許可業者の失効数では15年度が2.4万、16年度に2.2万、17年度は2.1万業者と2万台で推移しているが、失効数が上回るため減少傾向となっている。
建設投資額は10年度の41兆円を底にし、震災復興や建築需要増などで徐々に増え、13年度は51兆円台になり、17年度が55兆円台、18年度は57兆円(予測)と増加基調のため、建設業界にとっては追い風となっている。
「東京商工リサーチ」の調べによる建設業界の2018年度倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,405件(前年度比9.2%減)となり、1989年度以降の過去最少となった。負債総額は大型倒産もあり、約1,765億万円で前年度を上回った。他方、後継者・人手不足倒産は75件(同4.2%増)で、この傾向は増加するとみられる。
17年度の建設業倒産要因は、▽受注不振が888件(同5.6%減)で6割を占め、次いで▽既往のしわ寄せが306件(同10.7%減)▽運転資金の欠乏が74件(同19.5%減)と、いずれも減少。唯一増加が<後継者・人手不足倒産>となる。建設需要増もあり倒産が減少傾向にあって、後継者難・人手不足のみが増加になっている。
後継者・人手不足倒産の要因別では、▽後継者難が46件▽人件費高騰が12件▽求人難が9件▽従業員退職が8件などとなり、後継者難が全体の6割を占める。建設業は総合建設業(2業種)のほか、専門工事業者(27業種)で構成され、建設業界は重層下請けのため小規模・零細が多く、後継者の確保・育成が大きな課題になっている。経営者・幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる後継者難からの倒産・廃業がますます増加要因となる。
なお、後継者・人手不足倒産の地域別では、▽関東地区が34件▽九州地区が10件▽中部地区が8件▽北海道地区が7件▽東北地区が6件▽中国地区が5件▽四国地区が3件▽近畿地区が2件である。小欄2月の<鉄骨ファブ倒産>で記述した鉄骨ファブ倒産現象と同じく、東日本地域が6割超を占め<東高西低>になっている。
人手不足の解消には<入管法改正>による外国人労働者が担うことになるが、<特定技能>資格の教育費や<働き方改革>による実働時間の制約・賃金増もあって容易でない。その分の建設コスト高は避けられない。
【加藤 文雄】