スノウチニュース<№156>平成29年11月
【鉄骨需要月別統計】
9月は44万9,700トン(前年同月比0.2%増)
17年度4~9月累計274万2,100トン(前年同期比3.0%増)
国土交通省が10月31日発表した「建築物着工統計調査」の2017年9月着工総面積計は11,651千平方メ―トル(前年同月比1.0%減)の前年同月比で2ヵ月連続減。1.1万平方メートル超えは6ヵ月連続となった。
▽建築主別では、公共建築物が577千平方メートル(同15.4%減)の同2ヵ月で減少に転じた。民間建築物は11,074千平方メートル(同0.1%減)と微減の同2ヵ月連続減となった。1千万平方メートル超えは6ヵ月連続で維持している。
▽用途別では、居住建築物は6,881千平方メートル(同5.8%減)と同3ヵ月連続減となる。非居住建築物は4,770千平方メートル(同6.9%増)と同1ヵ月で増加に転じた。▽構造別では、鉄骨系のS造は4,409千平方メートル(同0.2%増)と微増ながら同1ヵ月で増加に戻った。SRC造は176千平方メートル(同2.5%減)と同2ヵ月で減少となった。一方、RC造は2,009平方メートル(同3.0%増)の微増ながら同1ヵ月で増加に転じた。木造は4,994千平方メートル(同1.5%減)の同4ヵ月連続減となった。
▽鉄骨需要換算は、S造は44万0,900トンとなり、40万トン超えは連続6ヵ月で推移している。SRC造は8,800トンとなり、2ヵ月連続1万トンを割った。鉄骨計は前年同月比0.2%増の44万9,700トンとなり、前月比で4.2%の減少となった。
17年度上期(4~9月)累計でS造が前年同期比3.0%増の268万4,800トンとなり、SRC造では同ほぼ変わりない5万7,300トン。鉄骨計では274万2,100トンの同3.0%増となった。
16年9月-17年9月 鉄骨需要量の推移
月 | S 造 | 前年比 | SRC造 | 前年比 | 鉄骨造合計 |
16/ 9 | 439,900 | 7.4 | 9,000 | 92.5 | 448,900 |
10 | 401,400 | 0.2 | 5,700 | -61 | 407,100 |
11 | 415,400 | 4.5 | 3,250 | -15.7 | 418,650 |
12 | 407,600 | 7.6 | 8,700 | -41 | 416,300 |
17/ 1 | 426,500 | 21.9 | 6,400 | -30.5 | 432,900 |
2 | 399,800 | 3.6 | 23,500 | 35.4 | 423,300 |
3 | 339,200 | -1.9 | 5,450 | -63 | 344,650 |
4 | 435,200 | 22.3 | 9,700 | -6.6 | 444,900 |
5 | 435,600 | -6.8 | 8,800 | -55.7 | 444,400 |
6 | 479,500 | 5.2 | 9,400 | -1.2 | 488,900 |
7 | 434,100 | 11 | 10,800 | 148.5 | 444,900 |
8 | 459,500 | -7.2 | 9,800 | 306.9 | 469,300 |
9 | 440,900 | 0.2 | 8,800 | -2.5 | 449,700 |
(国土交通省調べ)
【建築関連統計】
日建連9月受注額約1兆5,400億円(前年同月比13.6%減)
民間工事額約1兆1,116億円(前年同期比8.2%増)
日本建設業連合会(日建連)が10月27日に発表した会員企業96社の2017年9月受注工事総額は1兆5,399億8,500万円(前年同月比13.6%減)となり、前年同月比では1ヵ月で1兆円台に戻ったものの2桁減になる。うち民間工事は1兆1,157億2,100万円(同8.2%増)で、微増ながらも同1ヵ月で増加に転じた。一方、官公庁工事は3,233億9,000万円(同58.6%減)の同2ヵ月連続での大幅減となった。
国内工事は1兆4,510億8,900万円(同20.3%減)となり、同2ヵ月で2桁減になる。民間工事は1兆1,157億2,100万円のうち、▽製造業が1,693億2,600万円(同19.8%増)となり、同3ヵ月連続の大幅増となった。▽非製造業が9,463億9,500万円(同6.3%増)の同1ヵ月で増加に転じた。
官公庁工事は3,233億9,000万円のうち、▽国の機関が2,272億3,800万円(同62.3%減)の同2ヵ月連続で大幅減となった。▽地方の機関が961億5,200万円(同46.1%減)と同2ヵ月連続減になる。▽その他が119億7,800万円(同50.6%増)の同2ヵ月連続増となった。なお▽海外工事は888億9,600万円(同-%)となった。
なお、17年度の4~9月(上半期)累計では7兆0,900億5,600万円(前年同期比2.7%減)となり、国内工事では6兆8,517億1,000万円(同5.3%減)、民間工事は4兆9,143億8,700万円(同0.6%増)、官公庁工事は1兆9,207億7,800万円(同17.6%減)、海外工事は2,383億4,600万円(同360.9%増)となった。
一方、地域ブロック別9月分受注工事額は、▽北海道516億6,600万円(前年同月比14.8%増)の前年同期比4ヵ月連続増。▽東北1,205億6,800万円(同40.5%減)の同2ヵ月連続の大幅減。▽関東6,287億9,600円(同27.9%減)の同2ヵ月で減少。▽北陸510億7,400万円(同11.6%減)の同2ヵ月連続減になる。
▽中部1,426億6,400万円(同33.6%減)の同2ヵ月連続の大幅減。▽近畿2,389億2,100万円(同26.8%増)の同3ヵ月ぶりに大幅増となる。▽中国601億4,000万円(同21.4%減)の同2ヵ月連続減になる。▽四国312億1,200万円(同58.3%増)の同2ヵ月連続増となる。▽九州1,260億4,600万円(同12.2%減)の同2ヵ月連続減となった。
地域ブロックにおいて前年同月比での増加は北海道、近畿、四国の3ブロックで、減少は東北、関東、北陸、中部、中国、九州の6ブロックとなった。
9月粗鋼生産862.3万トン(前年同月比2.0%増)
8月普通鋼鋼材の建築用54.7万トン(同7.2%増)
日本鉄鋼連盟が10月20日に発表した2017年9月の鉄鋼生産は、銑鉄生産は637.6万トン(前年同月比0.8%減)となり、前年同月比では8ヵ月連続減となった。17年度上期(4~9月)累計では3,904.9万トン(同3.3%減)となった。一方、粗鋼生産は862.3万トン(同2.0%増)となり、前年同月比では5ヵ月ぶりの増加となった。上期累計で5,203.5万トン(同1.0%減)となった。
炉別生産では、▽転炉鋼が646.5万トン(前年同月比1.0%減)で、前年同月比で5ヵ月連続減、▽電炉鋼が215.8万トン(同12.2%増)となり、同12ヵ月連続増となった。鋼種別生産では、▽普通鋼が650.7万トン(同1.8%増)で、同5ヵ月ぶりの増加、▽特殊鋼が211.6万トン(同2.7%増)となり、同17ヵ月連続増となった。
熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産は778.6万トン(同2.2%増)となり、同5ヵ月ぶりの増加となった。上期では4,594.7万トン(同0.6%減)となった。普通鋼熱間圧延鋼材の生産は606.5万トン(同2.0%増)となり、同7ヵ月ぶりの増加となった。上期累計では3,578.1万トン(同2.4%減)であった。
品種別では▽条鋼類は156.5万トン(同8.5%増)で、同5ヵ月ぶりの増加となった。▽鋼板類は446.4万トン(同0.2%減)で、同8ヵ月連続減となった。主要品種の生産内訳をみると、▽広幅帯鋼が361.0万トン(同1.3%増)で、同5ヵ月ぶりの増加となった。▽厚板は79.9万トン(同5.9%減)と、同10ヵ月連続減となった。
条鋼類では▽小形棒鋼が71.5万トン(同4.3%増)で、同3ヵ月連続増となった。▽H形鋼は34.2万トン(同20.3%増)と同2ヵ月連続増し、▽大形形鋼は6.9万トン(同1.3%増)で同4ヵ月ぶりの増加、▽中小形形鋼は8.9万トン(同4.4%増)と同2ヵ月連続増となった。また、特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は172.1万トン(同2.6%増)となり、同17ヵ月連続増となった。上期累計で1,016.6万トン(同6.3%増)であった。
8月の普通鋼鋼材用途別受注量による建築用は54万6,948トン(同7.2%増)となり、▽非住宅用37万0,952トン(同2.9%増)、▽住宅用17万5,996トン(同17.5%増)となった。なお、建築用の17年度の4~8月累計では259万7,566トン(前年同期比1.8%減)となり、非住宅は180万6,707トン(同1.6%減)、住宅は79万0,859トン(同2.2%減)となった。
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8月溶接材料の出荷高2万0,478トン(前年同月比4.9%増)
生産高は1万9,689トン(同8.0%増)
日本溶接材料工業会がまとめた2017年8月の溶接材料生産・出荷実績によると、生産高は前年同月比で8.0%増の1万9,689トンと7ヵ月連続増となった。また、出荷高でも同4.9%増の2万0,478トン8ヵ月連続増加した。また、在庫高は17.1%減の1万7,061トンとなった。
主要品種の生産高をみると、▽ソリッドワイヤ(SW)は7,387トン(前年同月比10.1%増)の同4ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は6,859トン(同1.8%減)の同1ヵ月で減少に転じた。▽被覆アーク溶接棒は2,554トン(同35.2%増)の同5ヵ月連続増となった。生産高計(その他を含む)は1万9,689トン(同8.0%増)となった。
出荷高は、▽ソリッドワイヤ(SW)が8,002トン(同7.2%増)の同7ヵ月連続増となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は7,383トン(同4.8%増)の同2ヵ月連続増となった。▽被覆アーク溶接棒は2,241トン(同10.1%減)の同8ヵ月ぶりに減少した。出荷高計(同)は2万0,478トン(同4.9%増)となった。
在庫高は、▽ソリッドワイヤ(SW)は5,185トン(同38.1%減)となった。▽フラックス入りワイヤ(FCW)は5,593トン(同6.9%減)となった。▽被覆アーク溶接棒は3,325トン(同2.8%増)となった。 在庫高計(同)は1万7,061トン(同17.1%減)となった。
【建築プロジェクト】
「横浜駅きた西口鶴屋地区再開発」は18年度着工
S造・一部RC造、地下2階・44階、延床8万平方
横浜駅は「横浜駅西口開発ビル棟」(S造・一部SRC造、地下3階・地上26階建て、延べ約9万8,000平方メートル、高さ約135メートル)が建設中であるが、その北側の横浜市神奈川区鶴屋町1の一部地区で「横浜駅きた西口鶴屋地区市街地再開発」(同準備組合、中山久招理事長)が具体化してきている。
同再開発の敷地面積は約6,650平方メートル。建築規模(高層棟、低層棟含め)はS造・一部RC造、地下2階・地上44階・塔屋2層建て、延べ床面積約8万平方メートル。地下は駐車場や機械室、地上1~4階に商業・サービス機能、7~13階がホテル、13階から上が住宅を配置する複合ビルとなる。13階から上が横浜駅の西口ときた西口から再開発ビルをペデストリアンデッキでつなぎ、歩行者の回遊性を高める構想になっている。
工事期間は18~21年度、22年春の供用開始を目指す。事業計画によると、再開発ビルは建築面積約4,980平方メートル。高さ約40メートルの低層棟と、その上に高層棟を配置する形で、 計画地の北側と西側の敷地の一部を交通広場、道路として整備される。地域の交通利便性向上を図るため建物東側の連絡デッキは、横浜駅西口駅ビルで整備予定のペデストリアンデッキと接続される。
事業スケジュールは、15~17年度に基本・実施設計と関係行政協議を行う。本組合設立と権利変換計画の認可を経て18~21年度に建設工事を行い、22年春の供用開始を目標とする。配慮書作成は松田平田設計・UG都市建築・東急設計コンサルタントJVが担当している。
横浜市は09年12月、横浜駅周辺の機能更新・再生などの指針となる「エキサイトよこはま22(横浜駅周辺大改造計画)」を策定。鶴屋町地区は駅を中心としたセンターゾーンと連携して、にぎわい機能や多世代交流支援機能、安全・安心サポート機能などの集積を図るエリアに位置付けている。
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「横浜駅西口駅ビル・鶴屋町棟」延床3万平方超に変更
ホテル・商業施設など交流拠点機能追加
JR東日本は「横浜駅西口開発ビル・鶴屋町棟」(神奈川区鶴屋町1の66の9ほか)は、従来の駐車場を主体とした施設機能に、ホテルや商業施設など交流拠点機能を追加された複合ビルに変更した。なお、横浜駅西口開発ビル棟は竹中工務店の施工で建設工事が進められている。
建築規模は、当初計画より7,500平方メートル増加し、S造・一部SRC造、地上9階建て(高さ31メートル)、延べ床面積約3万1,500平方メートルに変更した。設計はJR東日本東京工事事務所とJR東日本建築設計事務所が担当。施工者は未定。18年春の着工、20年の横浜駅西口開発ビル棟(建設中)との同時開業を目指す。
鶴屋町棟の建設地は線路と既存市街地に挟まれた(敷地面積約5,000平方メートル)。施設には駐車場(1~9階、約550台)、保育所(3階)に加え、ホテル(3~9階、約170室)、商業施設(1~3階)、スポーツ施設2~3階)、駐輪場・自動二輪駐車場(1階)が入る。
【鉄骨建築情報】
大林組が鉄骨柱・梁の現場溶接を完全自動化
ロボット開発、作業量は技能者の1.5倍
大林組はこのほど、S造建築の現場工事で柱と梁との溶接作業をロボットで行う新工法「現場ロボット溶接工法」を発表した。主要箇所の溶接作業をすべて自動化し、作業の省力化を図ると同時に、高い品質を安定して確保できる。1人のオペレーターがロボットを2台同時に稼働させた場合、単位時間当たりの溶接量は、溶接技能者の1.5倍程度になる。
鉄骨の柱・梁で現場溶接する部分は、梁上フランジ、梁下フランジ、梁ウェブ、円形鋼管柱の継ぎ手、四面ボックス柱(BOX)の継ぎ手、角形鋼管柱(コラム)の継ぎ手の6ヵ所となる。梁上フランジ、円形鋼管柱とBOX柱の継ぎ手は1990年代からロボット溶接が導入されてきたが、梁下フランジ、梁ウェブ、コラム柱は溶接の難易度が高く、複雑な機械制御を伴うため、ロボットによる溶接が難しかった。
同社は、15年2月に梁下フランジにロボットを使って上向きに柱と溶接できるようにした後、16年12月には溶接の速度制御機能を改善してコラム柱の継ぎ手の現場溶接作業をロボット化した。後に、電流・電圧など溶接条件や溶接時の動作などをさらに改良し、梁ウェブの継ぎ手でもロボット化を実現し、柱・梁の現場溶接作業を完全自動化した。溶接作業の難易度にかかわらず、複数のロボットを並行して稼働させることにより、溶接技能者よりも高い作業効率を実現する。
現場溶接は、溶接技能者の経験や技量差で品質にバラツキが発生し、検査結果によっては再施工しなければならない場合もあったが、ロボットの施工再現性により、高い品質を安定的に得られる。使用するロボットは、造船や橋梁溶接で使われるMHIソリューションテクノロジーズ社の<石松>をベースに独自の改良を加えた。現在は4台を保有しているが、生産効率が高いことから保有台数を増やし、適用現場を拡大する。現場で研修を行い対応しており、オペレーター1人で同時に最大3台まで稼働できると試算している。
【雑論・正論】
誰のための働き方改革
政府の<働き方改革>は、さまざまな分野で影響を及ぼしている。ある製造業の経営者は「国が望むことが<働きやすい職場にせよ>と言うのであれば、我々中小企業の求人環境はますます難しくなる。人材確保に苦労している時、国が転職を奨励するような政策に思える。大企業なら出来ても中小企業では対応が不可能だ」と苦言。
政府は経団連らに賃上げ要請するなど労使交渉に口ばしを入れているが、いずれも大企業対策である。日本労働組合総連合会(連合)の労使団交も形骸化するばかりだ。一億総活躍社会や働き方改革に次いで<人づくり革命>ときた。革命なる語句は穏やかでない。<革命>を現代用語辞典で引くと、「国家、社会組織を暴力的で急激的に変えること」とある。ほかに「現状が激しく変わること」の意味もあるが、国や政府が使う言葉とも思えない。
日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)は8月2日、建設業界紙に全面広告を出した(下記に原文転載)。
<「1970年代の私たちは、日曜休日を求めていました。そして1990年代にようやくに日曜閉所が社会に定着しました。日建協はこれまでも、長時間労働解消のため『4週8休』や『月100時間以内の所定外労働の撲滅』を訴えてきました。労働力人口減少社会をむかえ、建設産業における『働き方改革』はいよいよ待ったなしです。日建協は、これからの建設産業に必要なのは『4週8休閉所』であると考えます。建設産業の未来のために。」>
日建協とは、準大手ゼネコンら35加盟組合で組織された団体。この意見広告は政府が唱える働き方改革に合わせ、労組が企業や建設業界、社会に訴えるものであり、深刻な人手不足の時だけにタイムリーな企画だった。
冒頭の経営者は「政府が働き方改革などで口出しされては、公務員や大企業ならいざ知らず、中小企業の経営では成り立たない。若者がモノづくりの地道な訓練や努力を嫌がる風潮を払拭するには、学校教育でモノづくりの喜びや働くことの尊さを教えること。人づくりの基本は家庭にあり、親が働く姿の模範を示すべき」とも言っている。
政府が国民や企業に対して、「○○を目的に、○○を目標に」と号令を出して成功した事例は少ない。そのいい例が<物価上昇率2%>で、昨今、円安・株高になっても未達成である。実質賃金が上がってないためでもある。
超高齢化や少子化・人口減に直面しているが、常に人口増や経済成長を続ける方が不自然だ。むしろ人口も経済もその時代に即した摂理で動いている。日建協の意見広告は世の中の趨勢と合わせた働き方を要求している。ごくまっとうなものであるが、このような要求が中小零細企業に働く者にもできるような社会を実現したいものだ。
【加藤 文雄】